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神経症傾向と問題のあるネット行動

インターネット・ゲーム障害やゲーム障害については。精神疾患の国際的な分類基準に取り上げられたことで注目を集めました。一方で,インターネット全般を含む『インターネット中毒』となると,内容が広範なだけに少々曖昧な状態になっています。

そもそも,私たちのほとんど全員が,インターネットから離れられなくなっているわけで,そういう意味ではインターネットに依存しています。ただし,やはり「中毒」「依存」「障害」というためには,それをすることで日常生活が阻害されるということが条件になります。


インターネット中毒

インターネット中毒の条件とは,どのようなものなのでしょうか。たとえば,次の文章を読んで,どれくらい自分に当てはまるでしょうか。

◎使用していないときでもインターネット関連の活動について考える時間が多い
◎オンライン以外のことでイライラしたり気分が落ち込む経験をする
◎同じ満足を得るために以前より多くの時間をオンラインで過ごす
◎インターネット活動に使う時間の調節が難しい
◎他の趣味や友人に割く時間が減少する
◎職場・学校・私的な領域で否定的な影響があるにもかかわらず,やめることができない
◎オンライン活動に費やす時間を他人から隠そうとする
◎オンラインにいるときはポジティブな気分,オフラインのときはネガティブな気分になる
◎対人関係の問題(家族や友人,職場や学校など)にもかかわらず,インターネット上の活動に従事したいという強い欲求がある

やはり,問題があるのに止められない,実際の生活に支障が生じる,というのがインターネットの問題の大きな要因となります。

神経症傾向の問題

これまでの研究で,問題のあるインターネットの使用方法と関連しやすい心理特性として,神経症傾向を挙げることができます。

神経症傾向の高い人は,課題に対してネガティブな反応を示す傾向があり,自己批判的で,他者からの批判に敏感な傾向もあります。神経症傾向の中心的な部分として,否定的な感情を経験する傾向,何度もあれこれと過去のことを思い浮かべる反すう傾向,ストレスに対する敏感さ,無謀な行為や敵意など行動上の問題などを挙げることができます。

今回紹介する論文は,神経症傾向と問題のあるインターネット上の活動や,インターネットへの依存傾向との関連をメタ分析で検討するものです。非常に多くの研究をまとめていくと,どのようなことが明らかにされるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Neuroticism in the digital age: A meta-analysis)。

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