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マキャベリアニズムが高い人は物事に影響を与えると感じているのか

多くの人は,ある行動を見たときに,その背景にある本当の動機を理解しようとはせず,表面的な行動に基づいて他の人々を判断するものです。就職の面接でほとんど実績がない人が合格したとき,その人は何かのポテンシャルが認められたから合格したのでしょうか,それとも面接官を上手く操って良い印象を与えたから合格したのでしょうか。


統制の所在

ずいぶん昔の心理学の研究から取り上げられてきた心理特性に,統制の所在(locus of control)というものがあります。自分自身が環境に対して影響力を持つと認識することは内的統制の所在,影響を及ぼさないだろうと認識することは外的統制の所在と言います。

このことと,他の人に影響を与えて,ときには操作をして,自分の思いどおりに動かそうとする他者操作というのは,よく似た部分があります。マキャベリアニズムという心理特性も似ています。この心理特性も,自分の達成のために他の人たちを利用しようとする傾向を反映しています。

望ましさ

統制の所在とマキャベリアニズムというのは,似ている部分があるように思うのですが,内的統制の所在はとても「望ましい」心理特性だとされます。その一方で,マキャベリアニズムは「望ましくない」心理特性だと考えられています。

これまでの研究では,マキャベリアニズムには内的統制の所在ではなく外的統制の所在が関連するという報告もあるようです。しかしこれは不思議です。内的統制の所在もマキャベリアニズムも,どちらも外部に対して自分の影響力があると信じることを反映するはずではないでしょうか。

そこで,メタ分析によって両者の関連を検討した最近の研究で,両者にどのような関連が見られるのかを確認してみましょう。こちらの論文です(How is Machiavellianism related to locus of control?: A meta-analytic review)。

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