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知能の高い人は生存率が高いのか

割引あり

世界中で高齢化が進んでいます。もちろん,長生きすることが常に「よいこと」であるとは限りません。社会的な状況によって,また観点によって,長生きが「よいこと」であるかどうかは変わります。

長生きすることは,社会にとっては正直言って負担です。為政者の立場からすれば,高齢者が増えることはリスクです。しかし個人にとっては,もちろん健康も伴ってのことですが,長生きは目指すべき望ましい目標のひとつになりえます。


要因

生存率の高さに影響する要因には何があるのでしょうか。大きくわけて,外在的な要因と内在的な要因を想定することができます。

◎外在的要因:物理的,経済的,社会的,文化的要因やライフスタイルなど行動要因
◎内在的要因:遺伝要因や身体要因など

心理要因

近年,年齢に伴う老化に対する心理面の影響について研究が進められています。たとえば,次のような要因です。

◎パーソナリティ特性
◎ポジティブな感情
◎感情のコントロール
◎ライフスタイル
◎知能や認知機能

これらはすべて,年齢に伴う活動性の低下,健康の悪化,生存確率に影響する要因となります。

知能

これらのうちひとつの要因が,知能です。

子どもの頃に受けた知能検査から計算した知能指数(IQ)は,その後の学校教育における学業成績,学歴,社会的適応,仕事の成功や満足度,成人期を通じた死亡リスクの低さに関連するという研究結果が報告されています。

この間連については,これまでにも多くの研究で検討されているはずです。それらをメタ分析で統合したら,どんな結果が得られるのでしょうか。この間連を検討しているのが,こちらの論文です(Intelligence and life expectancy in late adulthood: A meta-analysis

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