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性格の男女の違いを細かく見ていくと

これまでにも,パーソナリティ特性の男女差については,いくつか記事を書いてきました。世界中で多くの研究が行われてきていますし,男女差を研究のターゲットにしていなくても,本当に多くの研究で補足的に男女の得点差が検討されたりもしています。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティの性差

これまでの研究ではどんな男女差が見いだされてきているのでしょうか。

たとえば神経症傾向(情緒不安定性)は,おおよそ男性よりも女性の方が高得点になることが知られています。とはいえ,神経症傾向のファセット(下位側面)に注目すると,すべてがそうだというわけではありません。たとえば,怒りや敵意に関連する領域は,やはり女性よりも男性のほうが高くなる傾向があるようです。

協調性(やさしさや利他性)は,総じて男性よりも女性の方が一貫して高い得点を示すことが報告されてきています。

勤勉性(自己統制,衝動制御,目標達成)については,ファセットによって男性のほうが高いものと女性の方が高いものとの,両方があるようです。全体としては,男女の差があっても大きいものにはならなかったり,研究によって結果が変わったりしてしまうようです。

外向性は他の人と一緒にいることを好んだり,自己主張をしたり,活発であったり,ポジティブな感情を抱きやすかったりする傾向を表します。外向性全体では,おおよそ男性よりも女性の方が得点が高い傾向がこれまで報告されています。これは,皆さんのイメージに合うでしょうか?ただし,外向性の中に含まれる支配に関連するような特性の場合には,男性のほうが得点が高くなるということも予想されます。

開放性は,創造性や知的好奇心,美や哲学への理解などに関連する特性です。この特性は,男女であまり大きな得点差は見られないそうです

ちなみに日本の研究結果でも,神経症傾向,外向性,協調性,勤勉性は男性よりも女性の方が高い傾向にあり,開放性は女性よりも男性のほうが高い傾向があるという傾向が見られています。


男女の詳細な検討

さて,年齢や文化などによって,パーソナリティの男女差が変わってくるのでしょうか。また,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのファセット(下位側面)によっても変わってくるのでしょうか。このあたりを詳細に検討することを試みた研究がありますので,見てみましょう(Gender Differences in Personality across the Ten Aspects of the Big Five)

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