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学業成績に関連するあれこれ

割引あり

学業成績は,学校に通う誰にとっても重要な指標です。学校の中で勉強し,必要なスキルを身につけ,将来のキャリアを形成していく活動を行います。その全体において,学業をどの程度達成したかという成績は,その後の将来の教育的な進展や職業上の道筋を決めるという点で重要な指標となります。

ちなみに,教育の効果をメタ分析で統合した結果をまとめて知りたいときはこの本が一番でしょうね。



関連するもの

学業成績に関連する心理学的な特性として,これまでにおそらく一番関連が検討されてきたのは,知能ではないでしょうか。知能は複合的な機能の総合体です。推論,問題解決,計画性,素早く正確に回答することなど,効率のよい学習に必要な心理的な能力のことを指します(さまざまな定義があるのですが)。

過去の研究によると,これもいろいろな研究があるのですが,知能指数と学校での成績との相関係数は,小学校から中学校くらいでおおよそ0.50前後だと推定されています。その後の学校段階ではもっと相関係数が低くなるのですがあ,それでも0.20くらいの相関は維持されるようです。

とはいえここには,学業成績や知能をどのように測定した結果なのかという問題があります。成績は学校から提出されたものであるのか,それとも生徒自身が報告するものなのかによっても,結果は異なってくるようです。

勤勉性

ビッグ・ファイブ・パーソナリティの中の勤勉性(誠実性;conscientiousness)は,20世紀終わりから21世紀になる頃に,学業成績と関連することが明らかになった概念です。

勤勉性は,自己制御や自己コントロール,誠実さ,達成志向性,目標志向性などを内容に含みます。勤勉性が高い人物は,現在の満足を先に延ばしてより大きな報酬を得ることができ,前もって計画を立て,目標を定め,一時的な衝動をコントロールできる傾向があります。

そして,学力に対しては,知能と同程度またはときにはそれ以上の関連や予測力があるという報告がこれまでにも行われています。

達成動機

動機づけが高ければ,学業成績も高まりそうです。ある意味で当然に思えるのですが,人生においてより成功したいという欲求である,達成動機づけや達成努力動機づけと呼ばれる動機づけは,学業への意欲に関連すると考えられます。これまでの研究では,達成動機と学業成績との関連は相関係数で0.20から0.30程度だそうです。

また,自己決定理論では,自律性,有能性,関係性という欲求に基づいて動機づけが高まることが仮定されています。

学業成績に関連するもの

保護者が報告する学業成績と,本人が自己報告する学業成績は,同じ成績であっても異なる視点からの報告となります。それぞれに対して,どのような要因が関連するのでしょうか。

知能,勤勉性,動機づけの側面から関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Academic performance through multiple lenses: Intelligence, conscientiousness, and achievement striving motivation as differential predictors of objective and subjective measures of academic achievement in two studies of adolescents)。

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