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中年期から高齢期にかけての楽観性と健康

割引あり

楽観的な人になりたい,と思いますよね。なんとなく,気が楽そうじゃないですか。楽観的であることは,全体的にポジティブで,ものごとを良い方向で捉えることができそうです。


楽観性

楽観性にはいくつかの定義があるのですが,ひとつは「良いことが起きるだろうという一般化された期待」です。

楽観性が高いことは,さまざまな「よいこと」に関連すると報告されています。

◎ストレスが大きな出来事が起きても欠席日数が少ない
◎インフルエンザ予防接種後の免疫反応が高い
◎心臓病や脳卒中のリスクの減少
◎死亡リスクの減少

予想外でしょうか?さまざまな身体的なよいことにも,楽観性は関連することが報告されているのです。楽観性が高まることは,心理的な側面だけでなく,身体的な側面の健康も高めるのです。


高齢期の楽観性

成人期の間に年齢を重ねていくと,高齢になるほど楽観性が高まっていくという証拠も報告されています。パーソナリティ特性全体からしても,高齢になると神経症傾向が低くなったり協調性や勤勉性が高まったり,それから自尊感情も高まるなど,だいたいポジティブな方向に変化していくことが報告されています。

ちなみに,ふたごの研究から楽観性の遺伝率を推定すると,楽観性の個人差のおおよそ25%を説明するそうです。ビッグ・ファイブ・パーソナリティだとだいた40%から50%位の遺伝率だと言われますので,楽観性の遺伝率はやや小さめです。

遺伝率が低いと言うことは,環境の影響を大きく受ける傾向があるのでしょうか?

健康か楽観性か

年齢を重ねると,身体的な健康にも問題が生じやすくなります。問題が生じるから悲観的になるのでしょうか,それとも悲観的になるから健康状態も悪くなるのでしょうか。健康だから楽観的になるのでしょうか,それとも楽観的だから健康になるのでしょうか。

因果関係はどうなるのでしょう。そこで,アメリカで行われた大規模な縦断的な調査プロジェクトのデータを分析した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Changes in Optimism Are Associated With Changes in Health Over Time Among Older Adults

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