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トニー・スターク(アイアンマン)は典型的ナルシスト

先日,子どもと一緒にamazonプライムビデオでアイアンマン2を観ていました。マーベルのアイアンマン実写映画第2弾です。ロバート・ダウニー・Jrのアイアンマンは,結構はまり役ですよね。

アイアンマン1の最後で自分がアイアンマンだということをバラしてしまったトニー・スタークですが,胸に埋め込んだリアクターが不調になったり,アイアンマンのスーツを利用しようとする軍やライバル会社,さらに別の天才科学者も登場し……とストーリーが展開していきます。



トニー・スターク

アイアンマン2の最後で,会社に潜入していたシールド(S.H.I.E.L.D.)のエージェントに,トニー・スタークは「衝動的」「自虐的な面がある」と評価されていました。そのふたつについては,スターク自身は否定していたのですが,「典型的ナルシスト」と評価されたトニー・スタークは「確かに」と同意しています。

トニー・スタークは大金持ちの息子で天才で,何でも自分でできてしまい,女性にも人気があります。パーティも派手なことも好きで自信満々なのですが,落差が激しく落ち込むとアルコールに溺れることもあります。そして基本的な仲間との協調性に欠ける傾向がある,という人物像です。

シールドのエージェントの「衝動的」「自虐的」という評価は,こういった不安定な行動を観察したことから来ているのでしょう。

ナルシシズムとは

ナルシシズム(自己愛)とは,自分自身に誇大な自己評価を持ち,自分を飾り立てたり自分の意見を押し通したりする傾向があり,自分が色々なものを手に入れる権利があると思っており,時に他の人を利用するといった特徴をもつパーソナリティ傾向のことです。

ナルシシズムは,ダークトライアドという反社会的な行動に結びつきやすいとされるパーソナリティ傾向のひとつとして,マキャベリアニズム,サイコパシーとともにまとめられることがあります。

1970年代にナルシシズムの傾向を測定する尺度であるNPI(Narcissistic Personality Inventory)ができてから多くの研究が行われました。海外のパーソナリティ(性格)心理学では,ナルシシズムはいろいろな研究を行う際の基本的でよく用いられる性格特性のひとつになっています。

アメリカで作られたNPIは,自己愛的な文章とそうではない文章の対になった2つの文章のどちらかを選択する形で回答する形式になっています。もともとは200項目以上あったと思うのですが,いくつかの因子分析研究を経て,40項目版が海外ではよく使われるようになっています。

その後,16項目版のNPIが作られたり,1項目で測定する超・超短縮版の尺度が作られたりもしていますが,それはまたどこかで紹介する機会があることでしょう。

ナルシシズムの研究については,私自身の卒論から博論までのテーマでした。日本の研究とか自尊感情との関わりについてもそのうち何か書いてみたいと思います。

ノモロジカル・ネットワーク

人間が色々なものを見て感じ取るパーソナリティは,明確な基準があるわけではありません。まるで,床に机の上のものをぶちまけたような状態や,宇宙空間に広がる星のようなものです。

その位置を確かめるには,その夜空に浮かんでいるようなパーソナリティ特性どうしの関係を見ることがひとつの方法です。

こういう考え方は,この本にも書いた通りです。

ある概念を表す統計的な得点と,また別の得点との関係をどんどんつないでいくと,ネットワークのようにつながっていきます。このネットワークは,概念と概念との関係という理論的な面と,概念に対応する測定された得点どうしの関係も含むものです。

このようなつながりを,法則定立的ネットワーク(monological network)といいます。おそらく,いろいろなネットワーク図を思い浮かべているかもしれませんが,性格もそのようなネットワークで表現することができるということです。

ナルシシズムのネットワーク

トニー・スタークが典型的だと言われたナルシシズムは,どのようなネットワークとして描くことができるのでしょうか。

思いつく限り,さまざまな心理変数との関係を記述しようと試みた研究があります。


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