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ストレスが多くてもグリットが生活満足度を高める

くグリット(Grit)は,アメリカの心理学者ダックワース(Duckworth)によって提唱された概念です。その内容は,長期的な目標に対する忍耐力と,情熱に関するものです。グリット尺度の因子分析の結果からは,おおよそ2つの側面に分かれることがわかっています。

◎興味の一貫性:興味を失うことなく,同じ目的を継続していくこと
◎努力の粘り強さ:失敗してもめげずに努力しつづけること

最初にこの論文を読んだとき,グリットは日本語で言えば「根性」だな,と思ったのですが,どうでしょうか……


心的外傷後成長

非常に大きな脅威を与えるストレス要因となる出来事に遭遇しても,その後にポジティブで永続的な変化を報告することがあります。このような現象のことを,心的外傷後成長(PTG)といいます。

PTGは,「他者との関係」「新たな可能性」「人間としての強さ」「精神性的変容」「人生に対する感謝」という5つの領域からなることが,研究で示されています。これまでの研究から,心的外傷後成長は男性よりも女性の方が高いPTGを報告する傾向があるそうです。

人生満足度

人生満足度(生活満足度)は,自分の生活の状況や人生そのものに対する全体的な評価のことを意味します。この概念は,ポジティブな心理面を研究するポジョティブ心理学にとって,とても重要な概念です。

これまでの研究では,男性の方が女性よりも人生満足度が高いとか,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのなかで,人々の人生満足度が低下する様子なども報告されています。

関係

グリットは,ストレスが多い場面でもうまく機能することに関連するようです。グリットのような心理特性は,危機に直面してもそれを新しい実践,新しいプロセス,新しい見方を始めていくチャンスだととらえる傾向に結びつくと考えられています。

このようなグリットの特徴は,PTGや人生満足度を高めることに結びつきそうです。新型コロナウイルス感染症のパンデミック中の縦断的な研究によって,これらの関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Keep going, keep growing: A longitudinal analysis of grit, posttraumatic growth, and life satisfaction in school students under COVID-19)。

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