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自分を肯定するのは能力なのだろうか?

「自己肯定力」という言葉をたまに耳にすることがあって,気になっています。

皆さんは耳にしたことはあるでしょうか。

ちから

「力」という言葉が付いていると,能力や技能のような概念を想定しがちです。「女子力」「人間力」「就職力」「決定力」などなど。そこでは「できる」「できない」ということが問題になっていて,「できる」ことがより望ましいとされています。

トレーニング可能性

さらにその概念は,トレーニングによってよりそうなることを獲得されるという特徴もあるように思います。

成長とともに変化していきそうですし,歳をとったら衰えたりするのかもしれません。また,一生懸命に何かをすれば,その「力」を獲得できそうにも思えます。

能力かスキルか

ただし「力」が,「能力」のことを指すのか「技能(スキル)」のことを指すのか,そのニュアンスの違いも重要です。

なぜなら,「能力」と言われるとより安定した,生まれながらのものに近い,なかなか変化しづらい概念を想定しがちだからです。

それに対して「技能」に近いニュアンスは,個人の努力や教育,トレーニングによって伸ばすことができるというイメージをもたらします。

この違いは,「知能」と「学力」の違いによく似ていると言えるのではないでしょうか。「知能」と言われると,なかなか変化が起きにくいイメージです。それに対して「学力」という言葉には,努力や教育や自己研鑽が強く結びついてきます。

スキル

「スキル」「技術」という言葉はどうでしょうか?知能と学力であれば後者の「学力」に近いニュアンスをもっていて,学力よりもさらに「自分で身に付けるもの」という意味が強くなるように思います。

実際には,知能にも後天的に身につける技能のような要素が含まれていますし,学力にも遺伝的な要素が関与しています。多くを後天的に身につけるような気がするさまざまな技能やスキルにも,遺伝的な影響かゼロということはありません。

肯定力

さて,こういったことを踏まえて,自分を肯定するのは,能力なのでしょうか。

「なかなかすることが簡単なことではないのだから能力だ」ということを考えることはできそうです。そしてその背景には,ポジティブさは意図的に獲得すべきものだ,獲得することが望ましいものだ,という考え方があります。

しかし,どうもそこには,何もないのに肯定する,何でも肯定するということにつながりそうな危険性もあるように感じてしまいます。

もっと自然に,気軽に,無理せず力むことなく自分を肯定するようなやり方はないかな,と思ってしまいます。え?それを「自己肯定力」と言うのですか.......!?


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