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職業適性検査は職業パフォーマンスを予測するか

以前,職業興味を把握する枠組みであるRIASECについて,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの対応関連を記事に書いたことがあります。


RIASECでは,次の6つの次元で職業に対する興味を整理しています。

◎R: Realistic (現実的):人よりも「もの」に興味が向かうので,工学関係や手工業,建築関係などに向いている
◎I: Investigative(研究的):アイデアとものへの興味の両方を備えている方向です。研究者や情報処理業務などが向いている
◎A: Artistic(芸術的):アイデアと人の中間の興味。芸術家や作家,イラストレーターなどが向いている
◎S: Social(社会的):興味が人の方向を向いている。社会奉仕や医療関係,教員やカウンセラーなど人に対する職業が向いている
◎E: Enterprising(企業的):興味がデータと人の方を向いている。企業活動や公務員,管理業務などに向いている
◎C: Conventional(慣習的):興味がデータとものの方を向いている。経理や警備,編集業務などに向いている。

職業適性

多くの生徒や学生たちがこの枠組みで,「あなたは将来この職業が向いていますよ」と判断されています。

ということは,この6つの次元は将来の職業のパフォーマンスを予測できるはずですよね。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティの枠組みでは,勤勉性(Coinscientiousness)の次元が,いちばん職業パフォーマンスに関連しているのでした。

では,このRIASECの枠組みだと,どれがいちばん職業パフォーマンスに関連するのでしょうか。

多くの学生が検査を受けていますので,やはり気になりますよね。

職業興味と職業パフォーマンス

そこで,この問題についてメタ分析で検討している研究があります。この論文(Are You Interested? A Meta-Analysis of Relations Between Vocational Interests and Employee Performance and Turnover)です。

これまでに何度もメタ分析の論文を紹介してきましたが,この論文でもやはりデータベースで論文を検索していきます。最終的に,74の論文とその中に含まれる141研究が分析の対象になりました。なかなか多くの論文(や学会発表や学位論文)がこのような問題に取り組んでいるようです。

さて,全般的な職業パフォーマンスは,RIASECの6つの側面とどのような関連を示したのでしょうか。結果は次の通りです。

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