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絵文字を使うと弱く見えてしまう

海外の大学では,大学のロゴが入ったTシャツやパーカー,スタジアムジャンパーなどをよく売っていますし,着ている学生もよく見かけます。東京都内で電車に乗っていても,都内の私立大学のロゴが入った服を着ている学生を見かけることがあります。

早稲田大学にもオフィシャルグッズがたくさんあって,オンラインで購入することができます。

メッセージ

大学名やチーム名など,何かのロゴがついた服装というのは,単にデザインという意味だけでなく,何かを表現しているとも考えられます。

ここで,シャツのロゴが「文字」なのか「絵」なのかという点に注目してみましょう。視覚的なコミュニケーション手段と,言語的なコミュニケーション手段との間で,何か違うメッセージを伝えることになるのでしょうか。

パワー

心理学で「パワー(power)」の研究というのが行われています。パワーは,組織の中の人間関係を支配する基本的な力のことを指します。この概念の定義としては,価値ある資源に対する非対称的な支配力といったものです。パワーのより高い人は,パワーがより低い人に比べて,価値ある資源に対してより高い支配力を示します。「よりパワーのある人は,より多くを手に入れる」ということですね。

日本語だと「支配力」でしょうか。でも,「権限」「権力」「勢力」といった言葉を使うこともできそうです。


シグナリング

パワーは対人関係の中で発揮されますので,人間関係の中で認識できるような「シグナル」を発するとされます。パワーのシグナルを認識したり,パワーのシグナルを発する(自分に権力があることを示す)ことも,重要な対人関係スキルのひとつだと考えられます。

集団の中でパワーの合図を見逃したり,誤解したりすると,人間関係がギクシャクしたり,集団内の関係がうまく行かなくなったりすると考えられます。実際に,集団内のパワーを見誤ると,グループの中でより多くの対立が経験されるという研究もあるそうです。

一方で個人は,パワーのシグナルを利用して,周囲の人々が認識するパワーを戦略的に操作することもできます。たとえば,特にアメリカでは身長の高さがパワーと関連しているそうで,見かけの身長を高く見せることで,よりパワーがあるように感じさせることもできるのだとか。

言語か絵か

ということで,身につけるものに言葉が示されているか,それとも絵が示されているかで,感じ方はそもそも変わってくるのでしょうか。今回紹介する研究では,7つの実験を通してこの点を検討しています。では,こちらの論文を見てみましょう(Medium is a powerful message: Pictures signal less power than words)。

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