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やはり性格の開放性が移住に関連するのか

国内で住む場所を移動するというのは,致し方なくする場合もあるのですが,ある程度は自らの意志が関与した行動です。伝統的に,国内移動の研究というのはあるようで,年齢や教育段階などの要因が取りあげられてきました。

性格の要因

しかし近年,人間の性格(パーソナリティ)特性が,国内の移住に関連するという研究知見が報告されてきています。

◎オーストラリアでは,開放性と外向性が国内移住の意思決定に影響し,勤勉性は国内移住の抑制要因となる
◎アメリカ合衆国では,開放性が州内・州間の移動に関連し,協調性は抑制要因となる
◎イギリスでは,勤勉性の高さが移動するかどうかに影響する。
◎リトアニアでは開放性が移住の意図と正の関連,勤勉性は負の関連を示す。

日本でも調査が行われています。そしてやはりこの論文でも,開放性や外向性が国内の移住に関連するという結果が得られています。

より複雑

もっと複雑な様相がありそうだという研究知見もあります。

◎開放性は長距離の移動確率を高めるが,居住地の移動については長距離になるわけではない
◎開放性の高さは家族による動機づけよりも,教育や雇用に関連した移動の動機づけに関連する
◎外向性と勤勉性が高い人は,言語的に遠い国に国際移住をする傾向がある。

この中でも,開放性が移動に関連するという結果は多くの国で共通して見られるもので,研究でも比較的安定して見られるものとなっています。

とはいえ,住居の移動というのは経済状況や教育状況,親元から離れることの文化的な意味など,多くの要因によって成り立つ行動ですので,単に要因を性格に求めるというのは,なかなか難しいことだろうなという予想もできます。

そこで,ヨーロッパの17の国・地域で得られたデータを使って,統合的に移動が何に関連するのかを検討した研究結果を確認してみましょう。こちらの論文で得られたものです(Does the association between internal migration and personality traits hold in different countries?)。

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