見出し画像

AIに研究テーマを決めてもらう

卒業研究などの場合に,「研究テーマをどうしよう?」と悩む学生は多いのではないでしょうか。

悩んだときは,AIに決めてもらうというのはどうでしょう。

Chat GPT

というわけで,人工知能モデルをベースにしたChat GPTを使って,心理学の研究テーマを考えてもらったらどうなるかを試してみました。

ChatGPTは,誰でも登録するとすぐに使い始めることができます。たった5日間で100万人のユーザが登録したということでも知られています。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティ

手始めに,ChatGPTに「ビッグ・ファイブ・パーソナリティ」と入力してみましょうか。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティとも呼ばれる五要素モデル(FFM)は、人間のパーソナリティを5つの広い次元で説明する心理学理論です。
1. 開放性:想像力、創造力、新しいことに挑戦する意欲を含む特徴を持つ。
2. 真面目さ:組織力、頼りになり、自己訓練をする特徴を持つ。
3. 外向性:外交的、社交的、自己主張する特徴を持つ。
4. 協調性:協力的、共感的、優しい特徴を持つ。
5. 神経質:不安、気分屋、感情不安定の特徴を持つ。
この5つの特性は広いカテゴリーと考えられていますが、それぞれの人にはこれらの特性の独自の組み合わせがあり、多次元の構造であることも重要になります。

外向性の中の「外交的」だけはちょっといただけません。外向性は交渉上手というわけではないので…..。しかし,ネット上の文章でも本の中でもあまりに使われてしまっているので,AIがそれを学習しちゃっているのでしょうね。

研究計画

では,ビッグ・ファイブ・パーソナリティを使った面白い研究計画をChatGPTに考えてもらいましょう。質問すると,いくつかの研究テーマを考えてくれました。

1.パーソナリティの特性と仕事のパフォーマンスの関係:研究者は、異なるパーソナリティの特性がどのように仕事のパフォーマンスに関連しているかを調査し、組織がパーソナリティテストを使用して従業員を選択し訓練する方法を研究します。
2.パーソナリティの特性と精神的健康の関係:研究者は、異なるパーソナリティの特性がどのように精神的健康の結果(うつ病や不安障害の発症など)に関連しているかを調査します。
3.パーソナリティの特性と身体的健康の関係:研究者は、異なるパーソナリティの特性がどのように身体的健康の結果(心血管疾患や長寿など)に関連しているかを調査します。
4.パーソナリティの特性と社会的行動の関係:研究者は、異なるパーソナリティの特性がどのように社会的行動(攻撃性や利他主義など)に関連しているかを調査します。

うーん,ちょっとざっくりした計画が立てられてしまっているようです。また,研究計画を考えるのは簡単ですが,これらを実際に行っていくとなると,いろいろな制約条件も出てきそうです。実際に取り組むとなると,「もう少し内容を絞っていこうね」と指導してしまいそう。大まかな方向としてはいいのかもしれませんが。

ナルシシズムの研究テーマ

次に「ナルシシズムを使って興味深い心理学の研究テーマを考えて」とお願いしてみました。考えてくれた研究テーマは,次のようなものでした。

1.ナルシシズムとリーダーシップの関係を検証する。自己愛がリーダーシップのスタイルや意思決定にどのように影響するか,チームダイナミクスやパフォーマンスにどのような影響を与えるかを研究する。
2.ナルシシズムの発達を調べる。幼少期や青年期にどのように発達するかを研究し,親のスタイル,仲間の影響,文化的影響など,発達に影響するさまざまな要因を特定する。
3.ナルシシズムとソーシャルメディア利用の関連性を調べる。ソーシャルメディアの利用がナルシシズムとどのように関連しているか,ソーシャルメディアのプラットフォームがナルシスティックな自己呈示を促進・維持するためにどのように利用されているかなどを研究する。
4.ナルシシズムと攻撃性の関連性を検討する。ナルシスティックな特徴が攻撃的な行動にどのように関連しているか,自己愛的な個人において攻撃性がどのように異なって表現されるかを研究する。
5.ナルシスティックな特性を軽減するための介入の有効性を研究する。ナルシスティックな特性を軽減し,対人関係や幸福感を向上させるためのセラピーやコーチングなどの介入の有効性を検討する。
6.ナルシシズムと心理的幸福の関連性を調べる。自己愛がうつ,不安,自尊感情などの心理的幸福とどのように関連しているかを研究する。

うーん,そうですか。やっぱりざっくりしているかも。また,すでにある程度行われている研究も多いですね。

なかなか

学生がこれらの研究テーマをもって「卒論をこのテーマで進めたい」と言ってきたら,どうするかなあと考えてしまいました。「もっと具体的に考えてみよう」とか「もっと先行研究を調べてみよう」とか「その中でどういうところに注目する?」とか,そんなことを言ってしまいそうに思いました。

おおまかなあたりをつけるにはいいのですが,AIに研究テーマを考えてもらうのは,もう少し質問を工夫しないといけなさそうです。

もっと細かく

では,もう少し細かく設定してみましょうか。「ナルシシズムとウェルビーイングを使った研究テーマを考えて」とお願いしてみることにしました。出てきたのは……

1.ナルシシズムとリーダーシップとの関連
2.ナルシシズムと精神的健康(不安,抑うつ,ストレスなど)との関連
3.ナルシシズムと対人関係(恋愛関係,友人関係,家族関係)の関連
4.ナルシシズムと自尊感情の関連
5.ナルシシズムとストレス対処方略(コーピング)との関連
6.ナルシシズムとレジリエンスの関連

なるほど。「ウェルビーイング」の中身を関連しそうなものに拡張してくれる感じになるのですね。……まあ,やっぱり論文を探せばそれぞれそれなりに出てきそうですけれども。ここから先行研究を調べて具体的な研究につなげていくためのガイドといった感じですね。

ここから先は

0字

【最初の月は無料です】心理学を中心とする有料noteを全て読むことができます。過去の有料記事も順次読めるようにしていく予定です。

日々是好日・心理学ノート

¥450 / 月 初月無料

【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?