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子どもの肥満と指の長さ

割引あり

だいたいどこの国でも,国全体が豊かになってくると肥満率が上昇します。これはお隣の国,中国でも同じで,成人の半数以上が肥満になってきている(過体重率が34.3%,肥満率が16.4%)という指摘もされています。

一方で日本の肥満率は成人の3分の1と言われていて,世界的に見ても先進諸国の中では肥満割合が低い国です。日本の人たちはほかの国に比べると明らかに太っていなくて,肥満について「言いすぎ」の感もあるのですが……。

肥満問題

とはいえ,肥満が社会的な問題になっているのはどこの国でも同じです。

肥満には,不健康な食事や甘い食べ物に飲み物,運動不足,メディアの利用時間の長時間化など,多くの行動上の要因が関係しています。ある仮説によると,胎児期の環境も出生後の肥満に影響するという可能性があるそうです。

アンドロゲンやエストロゲンといった性ホルモンは,消化管ペプチドおよび神経伝達物質と相互作用し食欲やエネルギー消費に影響して,脂肪細胞にも影響していく可能性があるそうです。特にアンドロゲンは体脂肪の分布を調節する働きがあります。妊娠中の過剰なアンドロゲンは,子どもの体重を増加させる可能性もあるのだとか。

アンドロゲンと言えば……そう,「指の長さ」です。

出生前のアンドロゲンは薬指(4D)の成長を刺激し,出生前のエストロゲンは人差し指(2D)の成長を刺激する可能性があるとされています。お腹の中にいるときに,性ホルモンによって指の長さが影響を受けるのです。そして,この人差し指と薬指の比率である2D:4D(2D/4D)の大きさは,エストロゲンとプラスの関連,アンドロゲンとマイナスの関連があると考えられています。

だとすれば,指の長さが肥満に関連するはずです。実際にはどうなのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(The association between digit ratio (2D:4D) and overweight or obesity among Chinese children and adolescents: A cross-sectional study)。

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