意図的に自傷行為をする人たち
非自殺的な自傷行為(nonsuicidal self-injury;NSSI)という言葉があるそうです。これは,自殺の意図がないにもかかわらず,自分の身体を意図的に傷つけることを指すそうです。
通常,身体を傷つけることは苦痛を伴いますし,できるだけ苦痛や障害は避けようとするはずです。しかし,一定の比率で,非自殺的な自傷行為は見られるそうです。
パーソナリティ
非自殺的な自傷行為は,特定のパーソナリティ(性格)特性とも関連するようです。
意図的に自傷行為を行う傾向には,マゾヒズム的な要素があります。マゾヒズムという言葉は,性的行動の一定のパターンを説明するために用いられるものですが,性的ではない行動にも適用されるようになった経緯があります。マゾヒズム傾向というのは,さまざまな苦痛を伴う行動について快楽を感じる傾向のことを意味します。実際に危険ではないような日常的な行為について快楽を抱く傾向のことを,「良性マゾヒズム」と呼ぶこともあるそうです。
ダークなパーソナリティ
どうやら,良性マゾヒズムは,マキャベリアニズム(他者を搾取する),サイコパシー(冷淡で倫理観の欠如),ナルシシズム(壮大な自己感覚や優越感),サディズム(他人の苦しみを喜ぶ)などダークなパーソナリティにも関連するようです。
良性マゾヒズムがこれらのパーソナリティ特性に関連するなら,非自殺的な自傷行為も関連するのでしょうか。これらの関連について検討した研究を見て見ましょうか。こちらの論文です(Predictors of nonsuicidal self-injury: The independent contribution of benign masochism and antisocial personality)。
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