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中国とアメリカでダークな性格を比べるとどっちの平均値が高いのか

ダーク・トライアド(Dark Triad)は,マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーという3つのパーソナリティ特性の集合体です。

◎マキャベリアニズム(Machiavellianism):他の人を自分の都合のいいように利用し,罪悪感を抱かない傾向
◎ナルシシズム(Narcissism):自分自身に誇大な感覚を抱いており,周囲の人も自分の素晴らしさを認めて当然だという感覚をもつ傾向
◎サイコパシー(Psychopathy):冷淡で温かい感情を抱きにくく,他の人の気持ちも感じにくい傾向

だいたいですが,こんなイメージでとらえてもらうといいのではないでしょうか。


国際比較

ダーク・トライアドの国際比較研究というのは,これまでも行われています。たとえばこの研究(country‐level correlates of the Dark Triad traits in 49 countries)では,49カ国で国際比較を行っています。

国の中が階層的なシステムになっていると,国全体でよりナルシシズムが高くなる傾向があるとか,あまり発展していない国ほどナルシシズム傾向が強いとか,その一方で発展している国ほどナルシシズムの男女差が大きい(男性のほうが高い)傾向があるとか,そんな結果が報告されています。

中国とアメリカ

そんななか,特定の国の間で比較する研究も増えてきています。多くの国を対象にした研究は,どうしても全体的にどうなるかというところに注意が向きがちで,大まかな結果が報告される傾向があります。もちろん,それはそれで意味があるのですが,少佐な分析には不向きです。

ある国とある国の間を比較する分析は,細かい点を分析することができるのですが,逆にいうとそれが何を意味するのかについてはよくわからない(たまたまその2国を比較するから生じる結果なのかどうか)傾向があります。

多くの国を対象とする研究と,特定の国の間で詳しく分析する研究は,両方が必要だということなのかもしれません。この違いは,ケース研究と統計的な研究が相互で補いあう関係によく似ています。

そこで,ダーク・トライアドを中国とアメリカで比較した研究を見てみましょう。この論文です(Differences in dark triad personality: Evidence from China and the USA)。

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