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#18 ボリビアのお祭りシーズンがやってきました ~Carnaval編

2022年2月27日 domingo
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先週はバタバタと、2つのデザインプロジェクトを動かすための準備と、デザインワークショップAPPLEの参加生徒を募るプレゼンテーションの準備に忙しくしていて、気がつけば週末になっていた。
そんな私のヘロヘロな状態とは裏腹に、街はこの週末から始まるCarnaval(カーニバル)に向けてワクワク感に溢れていた。広場では相変わらず、ダンスを練習する人たちの姿が見られる。
ダンスは地域によっていろいろな型があり、その種類は20以上あるらしい。金曜日に、職場でカーニバルのダンスの話をしていたら、エンジニアの同僚が AUKI AUKIというダンスを少し踊って見せてくれた。このダンスは老人がモチーフらしく、みんなおじいさんのような格好をして踊る、という。
彼によると、カーニバルに参加したいのなら少なくとも三ヶ月は練習をしないとダメで、しかも私が踊りたい Caporales[カポラレス]は最も難しいダンスのひとつ、だと言われた。カーニバル参加への道のりは簡単ではない。さらに、パレードでは3〜4kmは踊りながら練り歩くので、(標高4000m近くで!)体力が要る。ああ、険しい道のり。

そして今週はもうひとつ「Jueves de Comadres」という女の人のお祝いの日が木曜日にあった。カーニバルが始まる直前の木曜日(Juevesは「木曜日」の意味)に行われるらしいこの日には、女の人同士が連んで出かけて騒ぐ(という解釈をしている)。その前の週には、男の人のお祝い「Jueves de Compadres」もある。そんな日があるのかと、ただただおもしろく感じる。そういえば二年前にもそれらしき光景を見かけたのを思い出した。

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その木曜日、退勤したはずのエンジニアの同僚が私にキッチンに来てほしいと言っている、と、受付の女の子から言付けがあり、「え?なに?告白でもされるのか?」と、キッチンに行くと、そこにいた彼が「アツコ、今日は Comadres の日といって、」とケータイの画面に出した Comadres の説明を私に読ませ「お祝いでドーナツをあげる、それから、、」と、スプレーの泡を吹きかけられた・・・。ボリビアではカーニバル期間中、そこらじゅうで、水風船、水鉄砲、スプレーの泡を、道ゆく知らない人からもかけられまくる。これが結構冷たくて、つらい。おいっっ!と怒る私に「へへへ、ごめんー」と笑うセルヒオ。

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昨日の土曜日は、昼から同僚のダニエルの誕生日パーティに招待され、彼の家へ。私は約束していたみそ汁を用意し、鍋のまま彼の家へ持っていく。(みそ汁が冷めない距離に住んでいる。)ダニエルの彼女と、その両親、ダニエルの叔母さんとで、庭でバーベーキューを楽しんだあと部屋へ入り、ケーキを囲んで、ハッピーバースデーを歌った。

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途中なぜだが干支の話になり、それぞれの干支がどういうキャラクターか、という話題で盛り上がる。ダニエルの彼女から、「夜にクラブに踊りに行かない?」と誘われたので、そのあと一度家へ戻ってから夜また会うことに。モヒートを飲み、ジェンガを楽しんでから22時頃、クラブへ向かった。

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おもったよりもたくさんの人で、ぎゅうぎゅうの状態。モヒートとジェンガで完全に体が温まり、踊る準備ができている私たちは、ダンスホールの空いている場所に移動した。途中、となりで踊る女の子が、私に「¡Muchos chicos!(男の子がいっぱい!)」と話しかけてきた。確かにたくさんの男の子に囲まれている。

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美人な子だったから、仕方ないだろう、そら、と思いつつ、私は彼女に笑顔を返した。ずっと私のとなりで踊っていたその女の子は時折、私の手をとって一緒に踊ろうと誘ってきたり、お酒をくれたりする。すると、友達とトイレに行った際「あの黒いドレスの女の子が私に『Tu amiga es muy bonita』(あなたの友達、すごく可愛い)て言ってた。」と私に言った。おーーーー!これは女の子にナンパされてる状態か?!いや、私も美人だな、とおもってただけに悪い気はしない。そのあと、私の個人情報、どれくらいラパスにいるのか?など聞いてきたので、心配した友人が「もう帰ろうか」と救出(?)してくれた。そんな、おもしろおかしいボリビアの夜。


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2022年2月28日 lunes
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今日はラパスでカーニバルのパレード Jisk'a Anata が二年ぶりに開催される。ボリビアのカーニバルは Oruro[オルロ]という町で行われるものがメインで、全国から集まったダンサーとバンドの大規模なパレードが行われるのだが、そのほかの各地でも規模は違えど、パレードが見られる。友人に誘われ、私も二年ぶりにラパスのパレードを見に行くことにした。
パレードが行われる通りAvenida Camacho に入ると、一気に賑やかなムード。観覧席に着くまで、ダンサーが練り歩く通りを歩いていると、脇に座る人や、すれ違う人から容赦無く水と泡をかけられた。水鉄砲と泡スプレーの洗礼を受ける私たち。寒い・・・
席に着くと、次々にやってくるダンサーとバンドのパフォーマンスに、自然と体が動く。そういえば、ダンサーだか、バンドの人だかがずっとこっちを見ているな、とおもったら、泡のスプレーで攻撃された。スプレー常備でパフォーマンスしてるんですね。

ダンサーのグループがやってくるたびに、ボリビア人の友人が、それぞれどの地域のダンスか教えてくれたが、全部は覚えていない。もちろん音楽もそれぞれに違って楽しい。たまに、バンドがトラックに乗ってやってくるのも、いい。


Salay[サライ]はコチャバンバのダンス。男の子の足のステップが軽快で、かっこいい。


アルゼンチンに近いタリハのダンスは、ゆったりとした音楽に合わせて、長いスカートを優雅に動かしながら踊る。名前は忘れてしまった。


Caporales[カポラレス]はラパスの踊り。男の人の型が勇ましく、飛ぶ振りのところなんかは、本当にかっこいい。この Caporales に誘われ即興で見事に踊りきった友人。


Tinku[ティンク]はポトシ由来。衣装が一際派手で、低い体勢のバタバタとした動きが魅力的。この動きには大地の神様パチャママへの祈りも込められているのか。ついつい体が動いちゃうリズム。


Saya[サヤ]というアフロボリビアのダンス。アフリカ系になると、やっぱりリズムが違う。友達に誘われ、バンドの人たちと写真を取りに、踊りながらパレードの輪の中に入っていく。


水と泡の攻撃も受けながら、ダンサーと一緒に踊ったり、写真を撮ったり、(アジア人だから目立つのか)何度か取材インタビューを受けたりして楽しく過ごし、二年ぶりのボリビアのカーニバルを満喫した。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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