からあげ論争からアジフライ醤油問題まで。 ドラマ「カルテット」の食卓考察

2017年に流行ったTBS火曜ドラマの「カルテット」。Paraviでも観れることがわかり、久しぶりに堪能しちゃいました。
改めて見ると「思うこと」もたくさん。特に作品の楽しみのひとつである主要4人の食卓シーンが、ストーリー全体にどのような影響を与えているか。というところに注目していました。

大人の青春サスペンスドラマ仕立てなのに、あの有名なフードスタイリスト飯島奈美さんをアサインして作り込みまくっている圧巻の食卓シーン。
だいぶ尺もとっているし、ある程度戦略的に「食卓シーン」を描いているはず。その理由を私なりに考えてみました。

▶︎カルテットのあらすじはこちら

ある日、“偶然”出会った男女4人。
夢が叶わないまま、人生のピークにたどり着くことなく緩やかな下り坂の前で立ち止まっている者たちだ。そんな4人がカルテットを組み、軽井沢で共同生活を送ることになる。しかし、その“偶然”には、大きな秘密が隠されていた……。
巻真紀(松たか子)別府司(松田龍平)の運転で軽井沢の別荘へとやって来た。待っていたのは世吹すずめ(満島ひかり)と家森諭高(高橋一生)。東京のカラオケボックスで出会った4人は皆演奏者で、弦楽四重奏をやることになったのだ。ライブレストランで演奏しようという話になるが、その店では“余命9ヶ月”のピアニスト・ベンジャミン瀧田(イッセー尾形)がレギュラー演奏していた。そこで真紀は、突拍子もないことを言い出す。
(出典:公式サイト)


【第一話:からあげレモン論争】
人生の下り坂に悶々とする4人。下手すると殺伐とした雰囲気になるドラマを、食卓シーンが和らぎ、4人の内面を表現。

第一話と最終話でも登場してくるのが「からあげにレモンをかけるのか論争」。しんみりとした雰囲気をガランと変えた、このドラマの象徴的なシーンのひとつ。
この論争の経緯としては、すずめ(満島ひかり)が当然のように皿に盛られた唐揚げ全体にレモンをかけたことに対して、家森(高橋一生)が「レモンは小皿でかけて!からあげにレモンをかけられるのは不可逆的なこと!からあげのパリパリどが落ちる!」と怒り出すエピソード。
リズミカルに出てくる様々なセリフで視聴者の心を一瞬で鷲掴みに。

冒頭でもお伝えしましたが、恐らくドラマの中でも大切に表現された食卓のシーン。このシーンの役割、それは4人の「人間らしさ」の表現かもしれません。公式サイトにあるように4人は、夢が叶わないまま人生のピークにたどり着くことなく緩やかな下り坂の前で立ち止まっている者たち。表情や言動はちょっと暗かったり異質だったり。
でも決して人間としての協調性を失っているわけではない。殺伐とした関係性ではない。ということがこの食卓シーンを通じてよく伝わってきます。

焦っている、自分の夢と見切りをつけるギリギリのところ。でも足を引っ張りたったり、穿った考え方をするのではなくて、仲間との時間を楽しんでいる4人の姿に視聴者も惹かれていきました。


登場してくる食卓メニューの考察。

【2話:ブイヤベース】 
冒頭で登場する華やかな夕食シーン。家森が作ったブイヤベースや卵やトマトがはいったサラダ、白ワイン、フランスパンが並ぶハレの時間なのに、会話がふと餃子の話題に。4人の関係性の充実が伝わります。

【3話:湯豆腐】
別府が巻さんに「”天気予報”を唇を合わせずに言えるのか」と提起しながら湯豆腐を食べる平日の夕食。バンバンジーのようなサラダとにんじんのラペも。
メニューもそうですが、皿数で平日(日常)と週末(ハレ)をわかりやすく表現しているのかもしれません。

【4話:おにぎり朝食+アジフライ】
冒頭に出てくるのはおにぎりとお漬物もシンプルな朝食。
中盤に出てくるアジフライ。皿は第1話のからあげと同じ。千切りキャベツは別皿で用意されています。ここで勃発するのが、アジフライには醤油なのかソースなのか問題。家森だけがウスターソースを選び、めんどうな男の雰囲気をさらに強調しています。

5話、6話では、4人で食卓を囲むシーンはなし。おかげでスリリングな展開がずっと続いているように感じました。

【7話:お好み焼き】
終盤も久しぶりの4人の夕食シーン。巻が離婚したことを報告するシーンです。鰹節がユラユラしながら熱々のお好み焼きがホットプレートに。

【8話:洋朝食】
冒頭は巻の義母の手作り料理ではしゃぐ4人。
中盤は4人でスタンディングの洋朝食。卵やベーコンが挟まったロールパン、ヨーグルト、コーヒー、ウインナーが見えます。

【9話:炒飯+祝賀会の宴】
4人が集まった昼食シーン。家森が作る炒飯をみんなで食べます。はるさめサラダとお味噌汁も。個人手にはこの汁物に不満があったり。
ブイヤベースも作る家森、からあげやアジフライに強いこだわりがある家森なら、汁物は中華スープを簡単に作ってくれるはず。
どうして味噌汁にしたのだろう。または、これは炒飯ではなくて何かのピラフなのだろうか。。
中盤で登場するのは、祝賀会のシーン。巻が作るメニューは煮豚とサラダ、卵焼き?のようなものが確認できます。

【最終話:3人の鍋+巻との再会の宴+からあげ】
巻不在の軽井沢の食卓。食べているのは切らずに入っている春雨の鍋のみ。サラダなどもなくて、簡素というより団欒を重要視していない食卓が表現されているようです。
そこからの対比として登場する巻再会の宴。かぼちゃやエリンギのチーズフォンデュ。赤い鍋を囲んでみんなの笑顔が柔和です。トマトやブロッコリー、フランスパンもありますね。
そして、解散前夜の晩餐。食卓にはもちろん唐揚げ。ここで予想外に添え物のパセリ問題が勃発するという素敵なエンディングでした。


このように、ストーリーのお口直し的役割として機能していた食卓シーン。
果たして、私の仮説はどのぐらい真意なのだろうか。

改めてじっくりと観て、本当に素敵な作品でした。
松たか子さんの「天気予報」と三回言うところとか、吉岡里帆さんの表情とか最高でした。
真夏に寒そうな軽井沢の景色を見るのも、ヒヤッとして良いですよ。
ぜひぜひParaviでもう一回観てみてくださいな。




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