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なぜ女性は、パクチーが好きなのか?

週末は、作家・生活史研究家の阿古真理さんの『パクチーとアジア飯』刊行を記念したトークイベントに、対談相手として登壇させていただきました。

人生初のトークイベント登壇!憧れの阿古さんに初対面!
ということで出産並みに緊張してしまいましたが、会場のお客さんも温かく、阿古さんの熱量あるお話で盛り上がり、あっという間の2時間!とっても勉強になりましたし、とっても楽しかったです。

阿古さんの新刊では、パクチーブームの源泉や今盛り上がっているスパイスカレーやアジア料理(飯)が日本で人気化する背景を丁寧にまとめてくださっています。アジア料理が好きなぜひ、一度読んでみてくださいね。

さて今回は、このイベントで恐れ多くも紹介させていただいた、私視点の「パクチーが好きな女性が多いのか」をまとめて案内させていただこうと思います。

なぜ、”男性よりも女性のほうが”パクチーが好きなのか?

明確なデータが出ていませんが、「女性のほうが、パクチー好き」という印象はありませんか?あまりジェンダー的な分け方をしたくありませんが、おそらくパクチーは比較的女性が夢中になる食材だと思います。
ではなぜ、女性のほうが好きなのか?
私は3つの方向性で考えてみました。

1つ目の理由は、男女間の「本能的な」違い。
2つ目の理由は、男女間の「行動・接触する情報」の違い。
3つ目の理由は、男女間「欲求」の違い。


【理由1】 女性の嗅覚は男性より4割鋭い。香りに敏感な女性だからこそ、パクチーの香りに共感できる。

「パクチー」はタイ語で、英語だとコリアンダーで中国語だと「香菜」です。漢字からも分かる通り、パクチーの唯一無二のアイデンティティはあの香り。
その香りを司る器官の”嗅覚”ですが、どうやら女性は男性より「嗅覚感度」や「匂いの認識」が40%以上高いアンテナを持っている(脳の内部の嗅球と呼ばれる細胞が40%多いらしい)のだとか。
”女性と匂い”は普遍的に親密な関係だったりします。
奥さんが旦那の浮気に気づく描写はYシャツの襟付近の匂いからだし、妊娠中の女性は特定の食べ物の匂いでノックダウンすることもしばしば。女性は香りに敏感なのです。だからこそ、香りにパワーをもったパクチーを正しく評価し、愛せるのかもしれません。


【理由2】 男女で行動が違えば、触れる情報も変わる。

パクチーブームが最もヒートアップしたのが2016年と言われています。ではその2016年までに、パクチーファンはどのように増えたのでしょう?
パクチーの美味しさに開眼した人(パクチニスト)の多くは「昔はダメだったけど、大人に食べてみたら美味しくて、どんどんハマった!」というコメントを残しています。

コメントを言い換えると「本来の薬味としてのパクチーとどこかで出合って、美味しさに目覚めてパクチニストの道を歩みだしている」ということ。
では、女性たちはパクチストになるきっかけの出合いをどこでしたのか?

私はその出合った”場所”に男女の差を感じています。

2016年以前、パクチーのメニューや商品を販売しているのは、客層の大半が女性と言われるカルディファームや、人気グローサリーショップの成城石井OLのひとりランチの代表格スープストック だったりします。

パクチーブーム前夜の2015年は、恵比寿などのサラダ専門店でパクチーのメインサラダが販売されていたり、女性がよく訪れる場所にパクチーありという状態が続いていたのかもしれません。
結果として、女性がパクチーファンになるのも分かるような気がします。


【理由3】 パクチーは山盛りにすることで、インスタ映え食材となる。

instagramが日本に上陸したのが2014年。
その周辺から誕生した食ブームを考察するとき、どうしても「インスタ映え」の視点を抜きに語ることはできません。
SNSの登場で、食べ物の消費背景は目まぐるしく変化し、食に求める必要条件が変化していったためです。

パクチーは、何も工夫しなければ、見た目は葉っぱです。決してインスタ映えするヴィジュアルではありません。
でも、山盛りにすることでパクチーは劇的に”映える存在”になります。
天まで届くようにそびえ立ったパク盛りは「薬味をあんなに盛って食べるのか⁉️」という違和感、論争を巻き起こし、誰もが二度見して反応してしまう「インスタ映え」的存在に進化します。

パセリに近い存在のパクチーが主役級に変化するターニングポイントは、この「パク盛り」にあるのではないかと思っています。

初期のinstagramユーザーの多くは女性。
SNS映えする食べ物を発信したい欲求が高かったのは、男性よりも女性だと言うこともできるのではないでしょうか。


”パクチスト”と”ジロリアン”の共通点。
盛ることで、他の情報に埋もれない「アイコン」となる。

調べていく過程で、ラーメン二郎人気と、パクチー人気ってブームの構造的に似ているなと思ってしまいました。
1つ目の共通点は「異常レベルで盛っていること」。変哲のないことと感じるかもしれませんが、山盛りにすることで、他のメニューやトレンドに埋もれないアイコンとして成立します。
2つ目のの共通点は、ファンの呼称があること。パクチストジロリアンと言い宣言することで、世間一般から否定されやすい食べ物を愛するコミュニティーとして強い結束感を生み出すのです。


パンケーキやかき氷と異なり、食材が社会的ブームになるのはより一層難しいこと。パクチー独特の風味に共感できるようなった、私たち日本人の味覚の変化も大いに関係していると思います。

日本のフードシーンに着々と浸透しつつある「パクチー」。
これからも要注目ですね。


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