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インスタに顧客を喰われた雑誌が、いま圧倒的に面白い


ここ最近のJJ(光文社)が圧倒的に攻めていて面白いんです。
先月号では特集の#ジーパン女子にならって、漫画家の江口寿史さんのイラストが表紙に。40代over世代なら懐かしく、媒体のターゲット層からすれば新鮮で今っぽいイラストなわけですが、表紙に採用するセンス心意気、決断力。JJってすごい。

また、最新の12月号では「私たちの明日を変える53人」というタイトルで、同世代に大きな影響力を与えているインフルエンサーたちの”姿”を
息遣いまで伝わるような日本語力で骨太にまとめてくれています。

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(※タイトルのリード文を抜粋)
around20といえば、
まだ自分が何者でもないという不安を抱えだ世代。
同じ世代の中には、インフルエンサーとして大きな影響力を持っている、
学生でありながらビジネスで成功している、
日本を飛び出して世界で戦っているなど、
すでに”何者か”になっている人もいます。
でも、彼らは最初から選ばれた人たち?

ーーそれは違います。
実は普通の人として同じように悩んだり、
もがいたりしているaround20世代なんです。
そんな彼らから出たリアルな言葉をきっかけに、
明日から目の前に広がる景色が違って見えるかもしれません。


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▷ビジネス書にもSNSにも書かれていない。「何者かになる道」をまとめた貴重な特集。

私はAround30なのでインフルエンサーを全員は知らず、共感というよりは、ほえ〜と傍観者感覚で読んでいましたが、もし私が20代だったら強烈に影響を受けていたような気がします。

JJのターゲット世代は、強弱はあれど「キャリアへの危機感が強い」イメージあります。
これには生物学的な背景があって、結婚する、子どもを産むなどのライフイベントを見越すと女性が全力でキャリアと向き合える猶予はざっくり10年未満。限られた時間の中で突破していかないとけないわけですから、焦りますし必死です。よって意識が高くなりがちです。

そんな彼女たちからすれば、インフルエンサーのファッションもメイクも気になるけど、それと同じぐらいどうやってインフルエンサーになり得たのか?への感心が強いのは当然のこと。

男性と女性だと時間軸も向上心の根っこが違う。年上女性起業家のメッセージはなんとなく古臭い。
全員タレント時代、副業時代の”今”にマッチしたキャリアハウツーには、なかなか出合うことができないものです。


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ちなみに同じ光文社発刊の「VERY」編集長の今尾さんは媒体資料で上記のようにまとめています。
「時間のない読者に必要とされる、厳選した情報を届けたい」。
今回のJJの特集を読んで、VERYでまとめられている方針をコンテンツとして体感できたので、とても興味深かったです。


▷JJ”何者か”になる意味とハウツーを提示し、その手法の一部として洋服やコスメなどを見せる。

特集コンテンツとして完全に連動しているわけではありませんが、
JJが狙おうとしているのは
「洋服やジュエリー、コスメ商品を買う圧倒的な目的づくり」
でもあると思います。
なりたい自分になるため、イベントに参加したり情報発信するときに使いたい洋服やコスメという軸足で商品を提案することが、彼女たちには一定数刺さるのかもしれません。

▷改めてJJが”羨望の対象”になっているならば、完全に戦略の勝利。

アレコレと類推で書いてしまいましたが、
結びとして私がJJに対して強く感動しているのはこの一点。
逆境の中で結果を出す戦略の鮮やかさ。です。

実売などの結果がまだわからないので成功しているかどうか未知数ですが、改めて「JJ」が「あの雑誌に出てみたい、あの雑誌に出れば本物のインフルエンサー認定だ」というような社会的記号を作れているのならば、それはデジタルでは突破できない、編集がともなったマス媒体の雑誌の強みを生かした戦略の圧倒的な勝利だと思います。

(私が言うのもなんですが‥)
SNSの定着によって、雑誌は価値の再定義を求められています。
その課題感が強い雑誌(顧客をばさっとSNSにもっていかれた雑誌)のほうが、全力で新時代の雑誌の在り方を模索しているように見えて読み応え抜群なんですよね。

ファッション、ライフスタイル、文芸、情報誌などの縦割り領域意識、従来の勝ちパターンから抜けられていない雑誌は、既視感だらけで、読むに値する存在では今後もっと無くなっていくことでしょう。


情報だからけの今、深くて正確な情報を届ける雑誌が求められていると感じます。作戦変更をして攻めていく雑誌がたくさん増えていったらいいなぁ。と思いました。


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