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インターネット上の情報収集と公開にまつわる法的論点

インターネット上に大量の情報が溢れ、散在している時代だ。
このような時代にあって、インターネット上の情報を収集・整理し、公開することは、大きな価値をもちうる。

しかし、公開情報だからといって、どのように取り扱ってもよいというわけではない。
以下、ごく簡単にではあるが、法的な観点から、インターネット上の情報収集・公開に関する法的な論点についてポイントを述べる。

(1)著作権法
収集し、公開する情報(文章、写真等)が「著作物」として著作権上保護される場合は、権利処理を行う(著作権者から利用許諾を得る)か、著作権が制限される法定の要件を充たさない限り、著作権者の著作権(複製権、公衆送信権等)を侵害することになる。

著作権を侵害したとなれば、著作権者から差止請求や損害賠償請求を受ける可能性がある。
なお、著作権侵害については刑事罰も用意されている。

(2)個人情報保護法
特定の個人を識別できる情報であれば「個人情報」に該当し、このことは、公開情報であっても変わりはない。
そのため、インターネット上で収集し、公開する情報が「個人情報」に該当する場合も十分に考えられる。

本人の同意なく個人データをインターネットで公表する場合、個人情報の保護に関する法律23条2項の定めに従わなければならない。
すなわち、個人情報保護委員会への届出が必要であり、本人から求められた場合はインターネット上での公開を停止しなければならない。

これに違反した場合は、個人情報保護委員会の指導・勧告・措置命令の対象となりうる。

(3)ウェブサイトの利用規約違反
ウェブサイトの利用規約において転載や営利目的での利用が禁止されている場合も少なくない。

このようなウェブサイトから情報を収集し、インターネット上で公開した場合、ウェブサイトの利用規約違反となる。
この場合、ウェブサイトの運営者から損害賠償請求や差止請求などを受ける可能性がある。

(4)その他の法的論点
他者の人格権(名誉・信用、肖像権等)を毀損する情報を収集し、公開した場合は、当該他者から、人格権侵害を理由に利用の差止めや損害賠償請求を受ける可能性もある。

また、特殊なケースではあるが、わいせつ物を収集し、インターネット上で公開した場合には、わいせつ物公然陳列罪や児童ポルノ公然陳列罪等が成立する可能性もあるだろう。

その他、悪質な方法で情報を収集した場合は、個人情報の不適正な取得として違法となる可能性もあるし、その方法次第では、電磁的記録不正作出罪及び同供用罪が成立する可能性も否定できない。

(5)おわりに
以上、インターネット上で情報を収集し、公開する場合に生じる法的論点についてごく簡単に述べた。

必ずしも網羅できていないかと思うが、伝えたいことは、インターネットで情報を収集し、公開するにあたって検討すべき法的論点は少なくない、ということだ。

公開情報であるからといって、いかなる取扱いもが許されるということは断じてないのである。


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