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書を捨てて町へ出たら、僕は無知だった。

何となく、それなりにやれてきた人生だった。

学校の成績もすごく悪かったわけではないし、スポーツも人並みにはできた。
バンドもデザインも、振り返れば未熟なところが多いものの、なんとかいまの仕事に繋がっている。

人に会うのは好きだった。
色んな人の話を聞いて、咀嚼して、自分の血と骨にする。
目の前にいる人と自分を比較して、いまの自分と社会との距離感を測る。
そんな風にして、僕はいままで何となく、それなりにやれてきた。

いまの仕事は大きく分けて4つ。
・デザイン
・シェアオフィスの運営
・ラジオパーソナリティ
・市の人材育成事業
それぞれが本格的になりはじめたのがここ1年ちょっとで、働き方や生活リズムは大きく変わった。
ひとり働き方改革である。

そんな中で関わる人も責任感も1年前とは比べ物にならないくらいに(ありがたいことに)なってきているわけだが、進んでいくうちに如何に自分が無知であるかということを痛感させられている。

クライアントが届けたい情報を的確に伝えること。
どうコミュニティを形成して、場に集う人がストレスなく過ごすことができるのか。
求められる言葉と、発する言葉(語彙力)の乖離。
伴走するときの距離感と言葉の抽出の仕方。

何となく、それなりにやれてきた人生は、何となくそれなりにしかやってこなかっただけだった。

これはいかん、ちゃんと勉強せねば(もしくは自分のロジックの裏付けを取らなければ)ということで、年末くらいから本を意識的に読むようにしている。
脳みそのアップデートである。

ということで今回は、年末くらいから読んできた本をずらっと紹介してみようと思う。
note読者の方々に志田の愛読書なぞ公開したところでどれくらい有益なものなのかは甚だ疑問ではあるが、どれどれ最近の志田の思考回路をちょっと覗き見してやろうか程度でお付き合いいただきたい。


ナガオカケンメイの考え

デザインとリサイクルを融合した「D&DEPARTMENT PROJECT」代表であるデザイナー・ナガオカケンメイ氏の2000年〜2005年に記した日記をまとめた著書。
デザイナーとして新商品の開発をしながら、復刻商品を再定義することをしてきた氏は、いまやデザインの視点で新しい観光を提案するガイドブック「d design travel」の発行や、47都道府県の「らしさ」を紹介する「d47 design travel store」を展開。
「デザイン」と「地域」の掛け合わせをいち早く仕掛けてきた方なので、ハッとさせられることが多々。
仕事前に読むことが多く、たぶん今後も何回か読み直すであろうと思った本。


デザインのめざめ

日本デザインセンター代表のグラフィックデザイナー・原研哉氏の著書。
ナガオカケンメイ氏も「原デザイン研究所」の設立に参加している。
日常のふとした瞬間から生まれるデザイナーとしての視点を綴ったエッセイで、頷かされることが多々(当たり前)。
とくに「手のひらの装丁」の中での話が面白かった。


わかりあえないことから

劇作家・平田オリザ氏による、劇作家という視点から「コミュニケーション」にフォーカスした著書。
そりゃもう他人なのだから完璧にわかりあえるなんてことはないし、家族ですら全てを理解できないのだから、国と国が分かり合えないなんて当たり前である。
そのコミュニケーションの中での「摩擦」が蓄積すると大変なことになるので、その前にそれぞれが違いを自覚して、丁寧に解きほぐすこと。
すごくシンプルなことだけど、これは日常生活でも、企業活動でも、色んなフォーマットに当てはまる話だなぁ、と。
それを劇作家、演出家としての視点で書かれているから、すごく面白い。


そして生活はつづく

いまや国民的スターとなった星野源氏のエッセイ。
「つまらない生活を面白がる」この本は、何も考えずに笑える話が多いのと、こういう感覚のまま現在地を更新してきたからこそ、大衆に広く受け入れられる存在になったんだろうなぁと。
ちなみに「星野源のオールナイトニッポン」も毎週聴いている。
そして「Pop Virus」もめっちゃ良盤。
そう、僕は星野源氏のただのファンである。


アーティスト症候群

年末、21世紀美術館へ行った時に物販スペースで見つけた本。
「アーティストって言えば許される」感を、わりと辛辣に、かつロジカルに切っていて面白い。
80年代パルコ文化(日グラ)や、MTVが日本に入ってきた頃の話などが考察も含めて詳しく書かれていて、近代美術史の入門書としてもオススメかも。


beの肩書き

greenz商店で購入。
「デザイナー」「大学教授」「作家」などのdoの肩書きと、自分の名前の間にあるbeの肩書きを探してみるための、いわばHowTo本。
気仙沼で色んな仕事をしている自分に対する納得感はあるものの、誰かにいま自分がやっている時に説明する的確な言葉が見つからないなか、このタイミングでこの本に出会えたのはすごく嬉しい。
まだPART.1くらいまでしか読めてないけど、これは自分でも実践して、かつco-baでワークショップをやりたいなと思ってる。


という感じで、最近読んだ(読んでる)本の紹介をしてみた。
ほとんどの本はco-ba KESENNUMAのシェアライブラリーに置いてあるので、もし買う前に読んでみたいという方がいればいつでも。

今年は去年よりインプットも増やしつつ、それを踏まえた上でのアウトプット(実験)も増やしていきたい。

とりあえず確定申告そろそろやらねば
神様、プリーズギブミータイム&ブレイク。

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