見出し画像

本当に気仙沼は若者がいないのか。

元号が変わるという、初めての体験。
生前退位によってある程度「天皇が変わる」という事象に対する様々な手続きが分かりやすく可視化されたわけだが、昭和から平成になったときのスピード感半端ねーんだなと思いました。
令和が良い時代になりますよう。

4月某日、気仙沼市役所の新規採用者研修に呼んでいただき、プレゼンとトークディスカッションをしてきた。
初めてのことなので服装から既にもう分からず、一応ジャケットを着ていったものの、周りのみんなめちゃくちゃラフな格好だった。なんじゃい。
僕含め5人、「地域課題解決」という枠組みの中でゲストとして呼んでいただいたのだが、それが僕にとってもいい経験だったので共有しておきたい。

地方には(限らずだが)問題が山積している。
人口減少、少子高齢化、それに伴う税収の減少、一次産業の衰退などなど、上げ出せばきりがない。
しかも平成〜令和にかけての大きな特徴として上げられるであろう『らしさ』が尊重される生き方も相まって、こういう問題がさらに複雑に絡まってきている。
問題があって、仮定される解決策があって、アプローチするという今までのフォーマットでは対応できなくなってきているのが今の時代だ。
であれば行政も民間も連携してやっていきましょうぜ、ということで僕らは研修にゲストとして呼ばれた(すごいざっくりだけどここはニュアンスで察してくださいませ)。

いろんなジャンルのゲストの中で僕が話したのはco-ba KESENNUMAのこと。
地方にシェアオフィスがあることの意義、僕らがやっている理由。
事前の打ち合わせで「課題感ベースで喋ってほしい」とのオーダーをいただいたのだが、そこで気付く。
あんまそういうの考えずに今までやってきたな。と。
課題か、うーん、となっていた時に、同じくゲストとして打ち合わせに同席していた地元の先輩・こんてつが「僕らがポテンシャルとして感じていることは、課題の裏返しなんだと思う」と一言。
大きな気付きをありがとう。

ということで、逆説的に打ち出した僕が感じている気仙沼の課題
①コミュニティの分断
②壁打ちの相手がいない
③熱量の搾取
④既存のモノへの諦め

①コミュニティの分断
飲みに行くとなった時、だいたい同級生か職場の同僚。他の世代と交わることはほぼ無い。
日中仕事して、家に帰って、というサイクルが当たり前なのでそうなるのも納得である。

②壁打ちの相手がいない
新規事業を立ち上げたい時、挑戦してみたいことがある時、気軽に相談できる相手はどのくらいいるだろうか。
スケールさせたい時、風穴を開けたい時、考えを整理してくれる相手がどれくらいいるだろうか。
もしいるなら、それはどこに所属している人で、何人くらいいるだろうか。

③熱量の搾取
「そんなこと気仙沼じゃ無理だよ」
「長男は黙って実家の仕事継いどけ」
「目立つだけで叩かれるよ」
これ全部、僕が気仙沼で散々言われてきたこと。
偉そうに言ってたみんな元気かな。

④既存のモノへの諦め
「気仙沼は何も無いから」
「気仙沼じゃ仕方ないよね」
たしかに映画館も、ゲーセンも、ライブハウスも、スポッチャも、大都市に行けばあるよね。

では、僕らはco-ba KESENNUMAで何をしているのか。

co-ba KESENNUMAのバリュー
①圏域のコミュニティをクロスオーバー
②ウズウズしている人たちと共に企む
③熱量の共有
④クリエイティブであり続ける

①圏域のコミュニティをクロスオーバー
会員制のシェアオフィスであるco-ba KESENNUMAには現在、気仙沼のみならず登米市や一関市在住の会員も在籍している。
イベント参加者も南三陸や仙台からわざわざ来てくれていたりと、気仙沼だけに留まらないコミュニティが生まれている。
地域だけではなく、年齢、職業もバラバラ。何なら国籍が違う人だって出入りしている。
これはシェアオフィス、そしてイベントスペースだからこそ成せること。

②ウズウズしている人たちと共に企む
そもそもco-ba KESENNUMAは、被災した建物を自分たちで直し、設計し、施工している。この時点で頭がおかしい。
僕らは常に刺激が欲しい。そして何かを新しく始めようとしていたり、今の環境を自分の手でブチ壊そうとしている人のテンションが大好きだ。
人が集まる場所だからこそ、そういう内に何かを秘めた人たちと出会うことが多い。というか引き寄せている気もする。
一緒に企んで、カタチになった瞬間のあの感動的な刺激は何物にも代えがたい。

③熱量の共有
なぜそんな人たちが集まるのか。
それは僕らが一番楽しんでいるからである。
co-ba KESENNUMAのオーナーは課題解決のことを「大喜利」と揶揄することがあるのだが、僕らはそのくらいのテンションで日々を過ごしている。
気仙沼で誰よりも楽しく、本気で目の前のことに取り組んでいる自信がある。
その姿勢のことを、熱量と呼ぶのかもしれない。

④クリエイティブであり続ける
僕らは無駄に美意識が高い。
見てくれのことではなく、アウトプットされるものに対してだ。
ダサいものは誰が作ったものであろうとダサい。
イカしたものを常に生み出していたい。
無いなら作ろうぜ。
だからこそ僕は気仙沼でデザイナーをしているし、だからこそco-baが気仙沼にあると思っている。

と、ざっくりとこんな話を市役所の新規採用者研修でしてきた。
どのくらい伝わったかどうかは分からないけど、熱量だけでも感じ取ってもらえていたら嬉しい。

新規採用者は50名弱。ほぼ20代。
気仙沼に若い人は、いる。
けどおじさんたちは、平気で若者がいないと言い切る。
それは先に述べたコミュニティの分断が原因でもあるし、「(自分が求める理想的な)若者がいない」という意味でもあるのかもしれない。
そして若者は若者だけで集まり、上司の愚痴をつまみに酒を飲む。
自分の力が発揮できないのは環境のせいだと言う。

気仙沼をもっとカオスな街にするためのハブとして、co-ba KESENNUMAが機能してくれていれば嬉しい。
そのために僕らは、常に爆笑しながらクリエイティブで居続ける。

つい最近まで(今もたまに)朝が来るまで飲んでちょっと寝て仕事するという生活サイクルだったけど、(回復力も弱まってきているのか)翌日のパフォーマンスが下がるのであまりやらなくなった。
代わりがきかない仕事だから、体調管理の重要さが年々分かってきた。
そんなわたくし、4月は結膜炎腸炎になりました。イェイ。

新しい元号で過ごされる時代が、よりカオスなものでありますように。
古くてダサいものは、どんどん壊していこう。
くだらないものには、中指を立てよう。
新しい時代を作ろう。僕らで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?