売れる理由~日本電産とトヨタに学ぶ~
日経電子版の記事【永守氏「多少無理でも全て受けろ」 EVモーター量産】・【トヨタ車ばかり売れる ルロワ副社長が明かした手の内】は、日本を代表する企業のうち、日本電産のEVモーターとトヨタ車に焦点を当て、その売れる理由に肉薄した骨太の好リポートだと思います。
さっそく、記事からそのエッセンスをピックアップしてみると――
▶売れる理由
(1)日本電産のEVモーターの場合
① 引き合いがあったら、多少無理でも全て受ける。
② ほぼ全セグメントをカバーする品揃えで、脱ケーレツのニデック
インサイド(ニデック=Nidec=日本電産の英文社名から、~イン
サイドとはインテルインサイドをもじったもの)を狙う。
③ チャイナスピードにも対応できる開発スピードの速さ(⇦特定
分野、この場合はEVモーターに必要な幅広い技術リソースがあり、
外注せず内製できる)。
④ 開発スピードが速くても、信頼性試験・搭載した状態での試験など
品質保証には万全を期す(⇦複数の試験機で、様々な試験を同時
進行)。
⑤ 選択と集中で経営資源を集中投下。
⑥ プロダクトにニーズに応える優位性(この場合は小型軽量化)。
⑦ 内製化とアライアンスによる安価な調達でコスト競争力がある。
(2)トヨタ車の場合
① 世界の4大市場(中国・米国・欧州・日本)それぞれに最適な
重点戦略を採る。
② リセールバリューに留意し安易な値下げはしない。
③ 誤ったイメージ(この場合は「HEVは非力」等)の刷新。
④ 敵失(この場合はディーゼル車の排出ガス不正問題)を逃さない。
⑤ 販売店改革。
⑥ 『自分以外の誰かのために』というチームワーク。
日本電産のケースでは、①選択と集中で、特定分野での広範な技術リソースと経営資源の集中投下を実現し、②その分野の幅広い品揃えで、顧客のニーズに応える高品質で低コストなプロダクトを速い開発スピードで実現する、つまり、引き合いがあったら、多少無理でも全て受けるような体制が出来ている、という事です。
▶日本電産の強さ
選択と集中
⇩
特定分野をカバーする技術リソース
+
経営資源の集中投下
⇩
品揃え+高品質+低コスト+速い開発
⇩
「引き合いがあったら、多少無理でも全て受ける」
トヨタのケースでは、市場ごとの特性を見極めた(=最適化された)重点施策で、価格政策・イメージ戦略・販売店改革など、地道に顧客に寄り添った販売を徹底している姿が浮かび上がってきます。
日本電産、トヨタそれぞれの個性が浮き出た『売る力』、とても参考になります。
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