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『天使の翼』第12章(93)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、自身の稀有な体験を物語りながら、それが自然と叙事詩となっていくのを意識した。物語は、起承転結のループを繰り返し、一つの『結』が、次の『起』になる。物語のボルテージが、どんどん上がって、クライマックスへと……。そして、本当に、『風のデイテ』、デビルの背に乗って旅する吟遊詩人が、誕生した――  


  …………
  …………
  エリザに促され、
  わたしは、ついにデビルの首にまたがった
  人の肘の長さ程もある堅い鱗が
   バリバリと閉じて
  わたしは、彼女の皮膚の一部と化した
  鱗の内側に密生した白い毛が、
   わたしを赤ちゃんのように暖かくくるむ
  「いくわよ!」
  エリザは、わたしにためらう隙を与えず、
   目もくらむ断崖から
   真っ逆さまに飛び降りた
 

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