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オムニチャネルの拠点としての『駅』

 日経電子版の記事【ネット注文のパン、駅で受け取り 阪急阪神】は、阪急・阪神電気鉄道の沿線にあるベーカリーショップ12店の食パンなどを、ネットで事前注文(受取日時指定・決済も)⇨注文番号が付与される⇨阪急の大阪梅田駅構内の店舗に番号提示⇨商品受取、という「ネットで持ち帰り商品を事前注文するサービス」に関するリポートで、大阪梅田以外の駅への出店も検討とのことです。



 「ネットで持ち帰り商品を事前注文するサービス」と言えば、ネット
で購入して店舗で受け取る『BOPIS(ボピス、Buy Online Pick-up In
Store)』
を思い起こしますが、記事で紹介される事例は、その受取拠点が『駅』である所がポイントです。言ってみればBuy Online Pick-up In Stationで、偶然頭文字が同じですが、その優位性は、何と言っても、自宅の近くの駅、会社の近くの駅など、ユーザーにとって都合のいい最寄り駅は、ユーザーにとってアクセスのストレスが少なく、ネット通販の拠点として店舗に勝るとも劣らない点です。

 類似のサービスとしては、ネットで欲しいアパレルをチョイスして、指定した駅に取り寄せ、試着で確認⇨ユーザーには、そのまま購入・返品・リフォームという選択肢がある、というサービスもあります。
(付記:この点も含め、下記の拙稿でも考察しています。)



 このように、『駅』というインフラをネットとリアルの融合、オムニチャネルの拠点として活用することには、①ユーザーはもとより、②再配達が減少し、返品などの拠点としても活用できる宅配業者、③販路を広げられるメーカーや小売・ECサイト、そして④少子高齢化で鉄道事業には大きな伸びが期待できず、収益源の多角化を模索する鉄道会社と、四方良しではありませんが多方面にメリットがあって、そのポテンシャルには非常に大きなものが感じられます。

 『駅』をサービスの拠点、サービスの場として捉える発想を、仮に『StaaS(ステーション・アズ・ア・サービス)』と呼ぶとするなら、『StaaS』は、様々なサービスをデザインできるエコシステムであり、『駅』の再定義、再発見へと繋がる予感があります。



#COMEMO #NIKKEI

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