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『天使の翼』第12章(79)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 ついに、わたし達は街の上空に達した。エリザは、まるでわたしの意を介したかのように、小さな街の外郭を一周し、土埃の舞う中央の広場へと向かった。
 今や、街の住人は、さっきまでとは逆に、広場へと雪崩を打っていた。デビルの背にわたしが乗っていることに気付き、そのデビルが、広場へと舞い降りようとしているのだ。皆驚愕に目を見開いて、口々に叫びながら上空のわたし達を指差している……
 「いてっ!」
 わたしは、思わず声をあげていた――皆上を向いているものだから、立て続けに住人同士が衝突……いや、あれは、激突!
 不思議なもので、住人らは、わたしとエリザが広場の中央に着地すると決めてかかっていた――そこだけ、半径10メートルくらいだろうか――ぽっかりと空間が――

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