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オルタナティブ・データ~その有用性と情報格差~

 日経電子版の記事【位置情報やSNS投稿、新顔データで投資先読み  欧米先行、価格は高騰】は、改めて、従来型の公式データなどの公表を待たずに、全く別の新しい情報源から一早く動向を把握する、オルタナティブ(代替)・データについて考えさせてくれます。




 そもそも、情報活用の鉄則の一つは、他者よりも一早く精度の高い情報を収集して、素早い対応を起こす事だと考えられます。

 分かり易い例では、株の高騰に繋がるような情報を一早く仕入れて(もちろん合法的に)、まだ株価の上がり始める前に買う事でしょう。

 その為には、公式なデータの公表である適時開示情報やニュースを待っていては、必ずしも十分な成果は上げられない事は、少しでも株をやった事のある方には自明のことです。好材料であれば、ニュースの発表とほとんど同時に、ちゃんと情報の内容を読んでるのか?、という勢いで株価は跳ね上がり(特定のキーワードに反応するアルゴリズムによる高速取引なども含む)、とても間に合うものではありません。

 投資家は、独自の情勢分析・企業分析をして、自分なりに情報を整理し、投資すべき株式をスクリーニングする必要があります。その基になるデータの一つ、有力なデータの一つがオルタナティブ・データという訳です。

 株の世界以外でも、例えば、特定の農作物の作柄を一早く把握して仕入れに生かしたい時など、従来通りの公式データの公表を待たずに、宇宙空間から観察した耕地の衛星画像を解析して予測分析するなど、従来にない別の情報源から収集するオルタナティブ・データを活用する事の優位性は明らかです。

 ここで、一般論としてオルタナティブ・データの優位性を整理してみると――

▶オルタナティブ・データの優位性

(1)『精度の向上』・・・位置情報・SNSの投稿・衛星画像などデータ収集
           のテクノロジーが進化し、AIによるビックデータ
           解析など、データ分析のテクノロジーも進化する
           ことで、従来からの公式の情報源に頼らない、
           オルタナティブ・データの精度が向上していく。

(2)『スピードの向上』・・・AIの精度の向上などによりオルタナティブ・
           データの生成されるスピードが向上していく。

(3)『ユーザビリティの向上』・・・テクノロジーの向上によって、
           オルタナティブ・データの収集・解析の使い勝手、
           データそのものの使い易さが向上していく。

(4)『コストの低減?』・・・今はまだかなり高額なサービス料金が、
           テクノロジーの進化によって価格が低減していく
           のか、その価値を巡って高止まり、高騰して
           しまうのかが課題。



 こうしてみると、オルタナティブ・データには、公共の目的に活用するなど、明らかな有用性がある一方で、一早く精度の高い情報を獲得するためには超高額な料金がかかるとなれば、情報の一極集中、情報格差の拡大するリスクも秘めており、オルタナティブ・データを活用した取引には、ある種の不公平感が付きまとう事も否定できないのかも知れません。




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