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気候変動を基礎から学ぶ~1.5℃目標と国際合意の歴史的経過

※この記事は、気候変動・環境問題の素人による学習のためのアウトプット資料です。あまりに基礎的すぎて恥ずかしいですが、ご愛敬ということで。

地球の平均温度上昇を1.5℃以内に納める努力目標

気候変動や環境問題に関してよく耳にする、平均温度上昇の1.5℃目標。
この目標がどこで設定されているものなのかよくわからなかったので、調べてみると、どうやら「パリ協定」で採択されたものであるとのこと。

「パリ協定」

外務省のHPによると、パリ協定が採択されてから日本で効力を発生するまでの経過は以下のとおり。

平成27年12月12日 パリで採択
平成28年4月22日 ニューヨークで署名
平成28年11月8日 国会承認
平成28年11月8日 受諾書の寄託
平成28年11月14日 公布及び告示(条約第16号及び外務省告示第437号)
平成28年12月8日 我が国について効力発生

外務省HP:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page24_000810.html

平成27年なので、西暦2015年。日本での効力発生が、西暦2016年。
2023年現在から遡ると、7~8年前のことなのですね。

これまた、上記外務省のHPで公開されているパリ協定の和文によると、1.5℃目標について、以下のとおり記載されていた。

世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を、この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるものであることを認識しつつ、継続すること。

パリ協定(和文)第2条第1項(a)

ちなみに英文だと以下のとおり。

Holding the increase in the global average temperature to well below 2°C above pre-industrial levels and pursuing efforts to limit the temperature increase to 1.5°C above pre-industrial levels, recognizing that this would
significantly reduce the risks and impacts of climate change;

PARIS AGREEMENT Article 2 1. (a)

これを読むと、すなわち、

  • 世界全体の平均気温の上昇を、工業化以前に比べて、2℃を十分に下回るものに抑えるべし。

  • 世界全体の平均気温の上昇を、工業化以前に比べて、1.5 ℃までに抑えるための努力を継続するべし。

ということで、ここから、平均温度上昇を1.5℃に抑えるべき継続的努力義務が導かれるわけである。

なお、これによって我が国が負うことになる具体的な義務については、外務省のHPで公開されている「パリ協定の説明書」に記載されている(かなり細かい。)。

パリ協定と同じくらいよく聞く「京都議定書」

(ここまでくると一般常識の欠落を疑われてしまいそうだが・・・)「パリ協定」と同じくらいよく聞く「京都議定書」についても、改めてここで確認しておく。

林野庁のHPでは、京都議定書について以下のとおり説明されている。

京都議定書とは、1997年に京都市で開かれたCOP3で採択された国際約束をいいます。

京都議定書では、先進国の各国が二酸化炭素などの温室効果ガスを将来どのくらい削減するかが決められました。また、削減目標を達成するためには、森林の二酸化炭素吸収量を活用することが認められました。

同議定書では、第一約束期間(2008~2012年)について先進国全体の平均年間排出量が1990年(一部のガスについては1995年)の総排出量の95パーセント以下になるよう、各国の数値目標が決められました。

林野庁HPより。

めちゃくちゃわかりやすい。
ようするに、温室効果ガス(GHG)の削減目標を定めているのが、京都議定書というわけだ。

京都議定書は、1997年に採択されたのち、2012年に、京都議定書第2約束期間が設定されるに至っている。

内容をかいつまんで見ると、2008年から2012年を第1約束期間、2013年から2020年を第2約束期間として、この間に、温室効果ガスの排出量を一定程度に抑えるようにしよう、という内容(なお、第2約束期間については、日本は参加していない)。

京都議定書は、世界的にGHG削減に向けた一歩を踏み出す契機として重要な意義を果たしていたが、

  • 参加国が先進国に限られており(温暖化に対しては世界的に取り組むべきだが、温暖化を引き起こしてきたのは先進国なので、まずは先進国がちゃんとやるべき、という思想)、途上国の排出量については削減対象とされていなかったこと

  • 京都議定書策定当時「発展途上国」として扱われていた中国やインドには削減目標が課せらなかったため、両国の急激な経済成長によってGHGの排出量が急増したこと

  • 排出量の多いアメリカが途中で抜けてしまったこと

などの問題点が浮上していたよう。
このような過程を踏まえ、2015年に改めてパリ協定が策定されたようである(調べてみると、京都議定書からパリ協定に至るまで、かなりの紆余曲折があったようであるが、その過程はちょっと割愛。)

パリ協定は、上記の京都議定書の問題点を受け、先進国に限らず、途上国も含め、全ての締約国(全国連加盟国)に適用される。

直近の動き「グラスゴー気候合意」

直近の動きとしては、2021年、COP26において、グラスゴー気候合意が形成されている。

この中では、改めて世界全体の平均気温上昇を、工業化以前より1.5℃までに抑えるよう努力するべきことを確認するとともに、2010 年比で 2030 年までに世界全体の二酸化炭素排出量を45%削減し、今世紀半ば頃(=2050年頃)には実質ゼロにする必要がある、ということが確認されている。

参考となるHP・資料(備忘の意味を込めて)

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