見出し画像

プロミュージシャンがSNSで発信する理由 ~マネーゲームからの脱却~

こんにちは。
ベーシストのあつとです。

ぼくはサポートミュージシャンとしてライブやらレコーディングやらテレビやらでアーティストのバックで演奏するような仕事を主にやっています。(詳しくは知りたい方はぼくのホームページ見てね)

そんなぼくが最近SNSで自分がベースを弾いている動画をあげはじめたのですが、なんで始めたのかとかどんな狙いがあるのかとか、書いてみます。

テーマは「マネーゲームからの脱却、そして世界平和へ」です。
おおげさ?まあ、読んでよ。


(SNSはこんな感じであげてます。)




自分の理想とする仕事像の変化


まず、そもそもぼくははじめからサポートミュージシャンなるものを目指していました。バンドマンになりたかったわけではなくサポートミュージシャンになりたかったのです。
どんなジャンルの音楽でもできる。その場の対応力で音楽を作り上げる。そんな職人っぽいところに憧れていたんですね。(ちなみにその場の対応力より準備力のほうが大事だと今は思います。)

ありがたいことに20代なかばくらいから、仕事としてサポートミュージシャンとして生活できるようになりました。やりたかった仕事ができるわけですから、やりはじめたときとかはもうどんな仕事でもうれしかったし楽しかったです。

ただ、気づけばそれからもう10年くらい経って、やっぱり10年もやっているといろいろと心境の変化がありますよね。

まず、音楽的に楽しい仕事と音楽的にそんなに楽しくない仕事がはっきりとしてきます。まあ、もちろんベース弾くのは好きなのでどんな仕事でも楽しいのですが、楽しい度が100なのか20くらいなのかみたいな感じです。

そして、ギャラがめちゃくちゃ気になるようになってきます。提示されるギャラで一喜一憂。
ぼくのまわりのサポートミュージシャンたちもそうで、なんか最近どの現場いってもギャラの話してるなって感じです。年齢的にも子どもができてお金が前より必要っていうのもあったり、物価高っていうのもあったり、コロナ禍で安くされていたギャラが戻ってこないというのもあったり、理由はいろいろだとは思いますし、別にギャラが気になるのは悪いことではないですよね。むしろ仕事なんだから、気にしないといけない部分です。


でも、自分的にはなんかギャラを気にするのって楽しくないんですよね。
楽しくない。
お金が欲しいんだったら、サポートミュージシャンにはなってないわけです。自分のやりたいことしたいから、楽しみたいからやってたはずなのに・・・。

というわけで、気づきました。
結局、話は戻りますが、音楽的に(自分が)楽しい仕事ができていないからギャラがめっちゃ気になっているんだなと。
音楽が楽しむためのものではなくて、お金を稼ぐためのものになっているからギャラで一喜一憂するんだなと。(あくまでぼくの場合の話です。ミュージシャンの一般論ではないのであしからず。)

じゃあ、音楽的に楽しい仕事をしようよ!


好きな音楽を仕事にしたい


ただ、サポートミュージシャンにとって自分が音楽的に楽しいことだけを仕事にするっていうのはかなり難しいんです。


なぜなら、自分どんな音楽でもできちゃうから。はっはっはっ。


というのは半分冗談で半分まじなんですが、サポートミュージシャンって何でもできる便利屋さん的な側面があるんですよね。いろいろなアーティストのサポートしないといけないからそれだけ幅広いジャンルをカバーしていないといけないし、何かを「できない」っていうのは仕事がなくなるかもしれない可能性もあるし、恐ろしいわけです。

でもそうやって何でも「はい!よろこんで!」と言ってやってきた結果が、自分が音楽的に楽しいと思える仕事もあるし、そんなに楽しいと思えない仕事もあるっていう現状なんですよね。それで楽しくなければもうその仕事をやる理由をギャラにしか見いだすしかなくなります。

じゃあ、どうやったら自分が音楽的に楽しいと思える仕事を増やせるのか・・・!


それがSNSでの発信だー!!!


いやー、やっと本題にたどりつきました。前置き長すぎだし、今更SNSって遅すぎだろって感じだし、こいつ何いってんだって感じかもしれませんが、今更気づいたんだからしょうがない。
自分にとっては今やり始めるのが一番早いんだから、いいんです。


まあ、理屈はシンプルで

SNSで自分の好きな音楽や演奏を公開する

自分の好きな音楽や演奏を知ってもらえる

自分の好きな音楽や演奏の仕事がくる(はず!)

ということです。

本当ね、何年も前からSNSで自分のこと発信しているミュージシャン、本当にリスペクトです。先見の明ありすぎてすごい。

そんなわけで、自分の好きなものを知ってもらうためにSNSでの発信をはじめました。

ちなみにバズりたいわけじゃないです。
結果としてバズるのは大歓迎ですけど、バズるために何かを発信するのは、ギャラのために仕事をするのとあんまり変わらないと思っています。どこかで楽しくなくなる。(あくまで自分の場合は、です)


「自分」を発信する練習


ここからはSNSでの発信を始めた副次的な理由。(というかはじめてから気づいたこと)


1つは「自分」を発信する練習になるということ。


サポートミュージシャンやっていると本当にたくさんの人に自分の音を届けることができます。ホールとかアリーナとかスタジアムとか、数千人、数万人っていう前で演奏したこともあるし、自分がレコーディングした曲が数千万再生されていたりもするけど、それって結局誰かの発信をサポートしているだけで、自分を発信しているのとはちょっと違うんですよね。


▼数千万再生されてるぼくが弾いている曲
https://www.youtube.com/watch?v=UM9XNpgrqVk



スポットライトを浴びているのはぼくがサポートしているアーティストであり、同じステージには立っているけどぼくは裏方。(上の曲、聞いたことあってもぼくが弾いてるって知ってる人いないでしょ?)
称賛をうけることもないし傷つくこともないわけです。(多少はあるけど)

だから、いろんな人に自分の音を届けたことはあるけど、自分個人を発信することをぼくはほぼ経験してきませんでした。

そんなぼくにとってSNSで自分個人を発信するということは、わりとめちゃくちゃ勇気がいることで、一歩踏み出した感がすごいです。
このnoteもそうです。実はめちゃくちゃ勇気つかって投稿してます。


そうやって自分を発信することに慣れていって、少しずつ自分をさらけ出していけたらなと思っています。

話戻るけど、結局さらけ出せないと自分が望まない仕事が増えちゃうかもしれないですからね。自分をさらけ出せれば出せるほど、本来の自分が望むものがやってくるはず。
でもいきなり全部をさらけ出すのは恥ずかしいからこうやってちょっとずつ自分を発信する練習をしているっていう感じです。


自分の「好き」を集める


もう一つの理由は、自分の「好き」を集められるということです。

ぼくははじめにも書いたんですが、はじめからサポートミュージシャンになりたくてなりました。誰か特定の人に憧れてとか、めちゃくちゃ好きなミュージシャン、アーティスト、ベーシストがいてとかじゃないんですよね。
つねづね、どうやったらサポートミュージシャンになれるかを考えていたので、読譜とかどんなフレーズでも対応できるように基礎練習とかリズムトレーニングとかそんなことばかりやっていた気がします。

その結果、自分の「好き」を追求したことがありませんでした。好きな音楽、好きなベースの演奏、とかね。本当恥ずかしながらなんですけど。(素敵なミュージシャンは強烈な「好き」を持っている人が多い気がしています)

でも、SNSでは自分の好きなものを発信して自分の好きな音楽につなげていきたいわけですから、改めて自分の好きな音楽や好きなベースの演奏に向き合うことができました。

SNSでの発信は、自分の「好き」を集めて、再確認して、掘り下げることにつながっています。
その集めた「好き」を再構築することができれば、自分の音楽なんかも作って発信していくことができるんじゃないかなと思っています。というか、そうしたい。

やっぱ自分のオリジナルの曲を発信するってミュージシャンにとっては最強の自己発信だもんね。SNSでの発信はその足がかりになるのだ。(妻には、そんなまわりくどいことしてないでさっさと曲作ってみろと言われています笑。本当その通り。)


音楽業界がよくなる


さっき、ギャラとかじゃなくて自分が楽しいと思えることを仕事にしたいってことを書きましたが、そんなこと書いて安いギャラの仕事だけになっちゃうんじゃないの?大丈夫?
みたいなに思われたかもしれませんが、そんなことないと思うんですよね。

やっぱり自分が楽しいと思える仕事をやったほうが自分のパフォーマンスが確実にあがるし、そしたら自分の評判もよくなって、どんどん良い循環が生まれると思っています。

さらに言えば、サポートミュージシャンがみんな自分のことを発信すれば、音楽業界がもっとよくなるんじゃないかと妄想もしています。

さっきサポートミュージシャンはなんでもできるって書きましたけど、それはあくまでも建前で、もちろんサポートミュージシャンにも得意・不得意はあるんですよね。
だから、現状ぼくは音楽業界内でミスマッチが起きていると思っています。みんな「なんでもできます」って建前で仕事を受けちゃうから。

誰かにとって楽しくない仕事は誰かにとって楽しい仕事かもしれないんだけど、結局楽しくないと思っている誰かに仕事がわたってしまうみたいな。
それって、その仕事をうけた誰かも不幸だし、サポートしてもらうアーティストも不幸ですよね。

でも、サポートミュージシャンが自分の好きな音楽はこれですー!って自分を発信していれば、サポートしてもらうアーティスト側も適材適所なオファーができるようになるじゃないですか。
まじみんなハッピー。

音楽業界全体のクオリティーもあがって、やっぱり音楽いいよねってリスナー側もなって、音楽の需要も高まってさ、そしたら音楽売れるから予算も増えてさ、ミュージシャンのギャラもあがってさ、ギャラ上がったら音楽やりたいって思う若い子もたくさんでてきてさ、もうみんな音楽好きになって、そしたら戦争もなくなるよ。

だからぼくはSNSで自分のことを発信するのを始めたのである。


あ、あとは単純にベースの練習になります。
では、またSNSで会いましょう。
フォローしてね。


▼YouTube(オリジナルを公開し始めました)

このnoteを読んでる音楽好きなあなたならきっと気にいるはず。多分。ぜひチェックしてみてね。

▶チャンネルURLはこちら
https://www.youtube.com/@atutokitagawa


▼Twitter(演奏動画もあげるし日常的なこともつぶやいてます)
https://twitter.com/atutoKIT


▼Instagram(自分の演奏動画をたんたんとあげていきます)
https://www.instagram.com/k_atuto/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?