見出し画像

共感的理解をしていることは、どうやったら伝わりますか?

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングで目指すことは、相談者が自律的に自分の人生を考えるようになること。自らの意思で選択決定し、目的達成に向けた何らかの方策を実行するための行動変容をするため、勇気づけ、支援すること。

そのために、相談者が抱える本質的な問題を把握する必要があり、相談者の自己開示がカギとなる。

相談者が自己開示するために最も重要なことは・・・信頼関係の構築。安心して何でも話してもらえるような環境を作り、積極的に自己開示してもらうための、ラポールの形成。これなしでは、その後の展開はあり得ないわけだ。

先日、スーパーバイザーからスーパービジョンを受けた。
「では、この最も重要とされる関係構築をするにあたって、何をしますか。」と聞かれた。

傾聴、共感的理解、寄り添い、受容的態度、母性的風土・・・・

そんな言葉を並び立ててみたが、しっくりこない。
「それだけで、関係構築はできますか?」

ただ相談者の話す言葉を否定せず、うなずき、受け入れ、共感的理解を示す。確かにそれは、間違いではないはず。

でも、何か足りない。
関係性を悪くはしないだろうが・・・「この人は分かってくれる」と相談者に思わせるもう一歩、何か。


それは、キャリコン側が自己一致し、「確認作業」をすること、とスーパーバイザーは言う。
「来談者中心療法」を提唱したカール・ロジャーズは、「受容的態度」と「共感的理解」に加え、「自己一致」を並べている。

キャリコン側が自己開示し、キャリコン側が感じることを伝えること、が、関係性、信頼関係を「構築」していくことになる、ということだ。傾聴し、受容し、共感的理解を示す過程で、「わたしはあなたのことをこういう風に理解しますが、それで合ってますか」というすり合わせの作業。

キャリアコンサルタントが自身の経験の中で陥りやすい落とし穴だと思う。このタイプの人はきっとこうだろう、こういう環境にあるならば、こう思っているはず、という先入観、思い込み。

キャリアコンサルタントに透視能力はないのだ。霊能者でもなければ、占い師でもない。データに基づく統計学や経験で磨かれた「感」に頼ってはいけない。目の前の相談者は、10000人に一人のレアケースかもしれないことを前提に、先入観なく向き合わなければならない。

だから、傾聴からスタートしたキャリアコンサルティングの中で、相談者の傾向や想い癖、非言語コミュニケーションも含め、今考えていることが分かってきた、と感じたら、必ずそれを確認しなければいけない。もしかしたら、相談者自身が発している言葉さえ、その意味する内容は違っている可能性もあるから。

例えば、青信号と「青」と言うとき、「緑」と分かってて言っているのか、それとも本当に「青」に見えているのか、本人に聞かないと分からないのと同じ。確認する必要があるということ。

そこを擦り違えると、問題の把握に的確さを欠くことにつながり、結果、「この人には分かってもらえない」と相談者に思わせてしまうことになる。

キャリコンは、自分の中に芽生えた違和感に耳を傾けなければいけない。「相談者はこう言っているが、言葉の通りだろうか」「言っていることと、行動がちぐはぐだなぁ」といった違和感を持ったままキャリアコンサルティングを続けると、共感的理解もできなくなり、キャリコン自信が自己不一致の状況に陥ってしまい、どうしたらよいか分からなくなってしまう。

キャリコンは、ただうなずき相談者を受け入れるだけではなく、キャリコン側が積極的に相談者を理解しようとしている姿勢を態度や言葉で伝えることで関係を「構築」する。

分かっているつもり、でいることをハタと立ち止まり振り返るために。スーパービジョンを受ける意義は非常に大きい。

これまでの経験で、なんとか自分の役割に気づくことができました。与えられた役割を全力で全うするため、「わくわく」と「ドキドキ」のど真ん中を走ります。 サポートでの勇気づけ、素直に嬉しいです\(^o^)/