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懐かしい顔

街角でマスクを売っている老人を見かけ、懐かしい顔を思い出した。城南電機社長の宮路年雄だ。1990年代後半、アタッシュケースいっぱいに現金を詰めて持ち歩く経営者として、メディアに引っ張りだこだった。家電の安売りだけではなく、ブランド品や化粧品の安売り、さらに冷夏でコメ不足に陥ったときにヤミ米を廉売し、話題になったこともある。庶民に寄り添う社長としての印象が個人的にある。

トップ写真:商店街に行く途中の通り=吽形の写真を基に阿形作成

マスクとピンクソルト

出かけ先の商店街を阿形と歩いていると、通りの露店でマスクを販売する老人がいた。誰かに似ていると思っていたら、それは宮路年雄だった。商材はマスク。50枚入り1500円と一時の半額以下。それでも足を止める人はもういない。すでに市中に出回っている状況を考えれば、無理もない。

マスクの隣にどういうわけか、ヒマラヤ産岩塩らしきピンクソルト。これも売り物らしい。マスクとソルトという何とも微妙な組み合わせ。諸用を済ませて再び店の前を通ると、ちょうど店じまいの最中だった。あまり売れなかったようだ。顔は似ていても商売の腕は似ていないらしい。

宮路年雄が生きていたらー。そんな状況をふと想像してみた。マスク不足のとき、いち早く安く販売してくれたかもしれない。パフォーマンスだと揶揄されようと、庶民が困っていると聞けば、「よっしゃ」と言って立ち上がっただろう。宮路年雄、享年69歳(98年逝去)。

今、そんな経営者は見つからなそうだ。(敬称略、うん)

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