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『別れても好きな人』の歌詞、幽霊説。そして東京ホラーツアー

こんな古いデュエットソングを何を今さら、とお思いの方も多いでしょう。知らない方も多いでしょう。何しろ、私だってこの曲が発売したときには生まれていませんからね。
しかし、この歌詞には不思議な部分、もっと言うと怖い部分があるんです。それを共有したいと思って書き記します。
まだまだ暑い日が続くので、ほんの少しだけ私と一緒に肝を冷やしてはみませんか? さっそく、くだんの歌詞を読んでみましょう

別れても好きな人(昭和54年)
作詞作曲 佐々木勉 
唄 ロスインデイオス&シルビア

別れた人に会った
別れた渋谷で会った
別れたときとおんなじ雨の夜だった
傘もささずに原宿
思い出語って赤坂
恋人同志にかえってグラスかたむけた
やっぱり忘れられない変わらぬやさしい言葉で
私をつつんでしまうだめよ弱いから
別れても好きな人
別れても好きな人
歩きたいのよ高輪
灯りがゆれてるタワー
おもいがけない一夜の恋のいたずらね
ちょっぴり寂しい乃木坂
いつもの一ツ木通り
ここでさよならするわ雨の夜だから
やっぱり忘れられない変わらぬやさしい言葉で
私をつつんでしまうだめよ弱いから
別れても好きな人
別れても好きな人
別れても好きな人
別れても好きな人

別れても好きな人

おかしなことに気づきませんか?
と言って、東京近郊に住んでいらっしゃらない方はピンとこないかも知れません。
歌詞には「渋谷」から始まって「一木通り」で終わる、東京の地名が頻出します。これは国道246号、いわゆる青山通りです。歌詞では、青山通りを左に入ったり右に入ったりしているんですね。
しかしおかしいんです。いったい何がおかしいのか、私と一緒に東京を散歩した気分で参りましょう。

さあ、私たちは青山通りを渋谷から皇居に向かって出発します。
てくてくてく……
ん? すぐ右手に青山学院が見えますね。ですが、私たちはここの学生じゃありませんので、無視、無視。とっとと前に進みましょう。
おやおや。まず、見えてきたのは表参道駅ですね。と言っても地下鉄なので電車がむき出しになっているわけではありませんが。ここの交差点を左に曲がると原宿駅に辿り着きます。余談ですが表参道駅は銀座線、半蔵門線、千代田線が通っています。半蔵門線は東急田園都市線との直通がありますので、乗り換えなくても横浜(郊外)方面に行けるんですねえ。
私たちは原宿へは行かずに真っ直ぐ青山通りを進みましょう。あら、何か見えてきました。南青山3丁目の交差点です。外苑西通りと交差しているんですね。ここを右に曲がると西麻布につきます。ここを左に曲がるとワタリウムというオシャレな美術館がありますが、とっとと素通りします。
さてさて、少し進むとこれまた地下鉄の駅ですね。ああ、外苑前駅でした。ここも素通りしましょう。
あら、左手に明治神宮外苑ですね。はい、ここも素通りです。
おっと、青山一丁目駅に着きましたよ。外苑東通りと交差していますね。ここを右に曲がると乃木坂です。乃木坂をさらに進むと六本木の交差点です。左に曲がると創価学会タウンでお馴染みの信濃町です。しかし、こちらも曲がらずに、青山通りを真っ直ぐ行きましょう。
ここでまたまた余談です。青山一丁目駅には銀座線と半蔵門線と大江戸線が通っています。銀座線から半蔵門線に乗り換えるときは渋谷で乗り換えるのは避けましょう。5分以上歩きますから。青山一丁目駅か表参道駅で乗り換えるのがベストです。
何だか余談の方が長いですね。
さて、青山通りをえっちらおっちら歩いていると、あれれ? 左側が緑です。こんな都心に緑です。そう、左側は赤坂御所。そしてもうここは赤坂です。住所的にはもうすこし先が赤坂になりますが、もう赤坂といっても過言ではありません。
さらに進むと赤坂見附駅。その交差点を右に行けば一木通りです。申し訳ありませんが、千代田区1の1、皇居には行きませーん。ごめんなさーい。
さあ、みなさんん、ここでツアーは終了です……とはいきません。

不思議なことに気づきませんか?
そう、高輪がないのです。
高輪とは箱根駅伝で有名な国道15号と、国道1号の間にあります。港区だか品川区だか分からない場所です。
ようするに、青山通りからは距離があるわけです。青山通りを右に入ったり左に入ったりしている人が、とつぜん高輪にワープしているのです。
なぜこんなことが起きたのでしょう?

そうです、これは幽霊の歌なんです。
別れても好きな人。つまり、死が愛する2人を別ったわけです。そして幽霊となって逢いに来たのです。
『タワー』は東京タワーを意味しているのではなく、墓石を表現しています。『優しい言葉』とはお経を意味しています。そして青山通りには何がありますか? 青山霊園です。つまり青山霊園に安置された方が幽霊となって現れた、未練の歌なのです。

ウソです。こじつけです。

さあ、みなさん。私との東京ツアーいかがでしたか? まだまだ続く寝苦しい夜。少しでも心胆寒からしめることができたのなら、幸いです。