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「ブラック・クランズマン」

Prime Videoでスパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン」をみる。
https://bkm-movie.jp

1970年代のコロラド・スプリングス市で初めての黒人警官となったロン・ストールワースが白人至上主義団体クー・クラックス・クランに潜入捜査するという実話をベースにした映画(原作は本人による書籍、未読)

アカデミー賞も受賞したりと話題になっていていつも気になっていたが、ここ最近のアメリカでのデモを見て勉強がてら。また主人公を演じるジョン・デヴィッド・ワシントン(デンゼル・ワシントンの息子)がクリストファー・ノーランの新作でも演じているので予習がてら。あとアダム・ドライバーも好きなので。

物語は1939年の映画「風と共に去りぬ」のラストシーンで始まる。(この映画は南北戦争時の白人(南部の)を視点に黒人奴隷やKKKを肯定するような描写があるので、現代ではやや否定的な見方でされることもある。映画としての面白さは別)そういう意味ではアメリカ映画史に対するリー監督のアンサーにも思える。

主人公のロンが電話で支部代表と、白人警官であるフィリップ(実は彼はユダヤ人)が彼らと直接会う。アンジャッシュのコント的な一種のコメディ要素が入りつつ、正体が見破られそうになりながらも捜査を続けるハラハラさも兼ね備える。しかし、だいぶ重狂しい社会風刺が効いた演出が時折顔を出す。

最後は主人公たちがKKKやレイシストの同僚警官に「してやったり」をして終わる…と思いきや、2017年バージニア州での極右集会に対するデモに自動車が突入した事件の実際の映像が突如始まり、その事件で亡くなった一人の女性を「NO PLACE FO HATE!」という言葉を添えて追悼し、終わる。

映画はKKKやレイシストをひたすらに叩くような映画に終わってなく、物語終盤でKKKの集会で「ホワイト・パワー!」、一方で黒人解放運動の学生団体の集会では「ブラック・パワー!」と連呼されるシーンが交互に映し出される。かなり意図的に対立軸を作っており、二つが交わらないことを示唆しているように思われ、それが今も続いてるんだよというかなりメッセージ性の強い作品だと感じた。

時々、ホロコースト含めた人種差別について考えるようにしているが、この映画を観て思ったのは、人は仮想敵をつくり自分のアイデンティティを確保するんだなと。対立軸はすごく「分かりやすい」。
一方で「ウォッチメン」や「パシフィック・リム」みたいに人類・各国が結束して地球外生命体と闘うような世界を妄想するが、人類共通の敵であるウイルスが襲来するという現実が起こったにも関わらずどうやら世界はバラバラになったようにも思える。

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