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MORS PRINCIPIUM EST 『SEVEN』(2020)

1999年から活動している割とベテランのフィンランド産メロディック・デス・メタル・バンド、MORS PRINCIPIUM EST

バンド名はラテン語で「死は始まりに過ぎない」という意味らしい。なんか難しい。

元々は、フィンランド出身のJori Haukio(G)、Jarkko Kokko(G)、Toni Nummelin(Key)を中心に結成されたが、イギリス人のAndy Gillion(G) が作曲やバンドの中心だったり、一時的ではあったがフランス出身やニュージーランド出身のギタリストが加入するなど多国籍バンドでもある。

メンバーチェンジが多いことでも有名で、特に最近のVille Viljanen(Vo)とAndyの揉めに揉めた脱退劇はファンならずともとても悲しい事件だった。

今回紹介する『SEVEN』は前作『Embers of a Dying World』リリース後、リズム隊の2人が脱退し、作曲はVilleとAndyの2人体制でされたとのこと。(ただアルバムクレジットにはAndyの名前はない… )
レコーディングではAndyがBassを弾き、Dsパートは3rdでもプレイしていたMarko Tommila(Ds)がサポートメンバーとして一時的に参加している。
AFM Recordsからのリリース。

SEVEN

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Ville Viljanan - vocals
Jori Haukio - guitars, programming
Jarkko Kokko - guitars
Teemu Heinola - bass
Marko Tommila - drums
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■A Day For Redemption
壮大なストリングスでシンフォニックに幕開けたと思いきや、落雷のごとく始まる切れ味鋭いギターリフが全てを切り裂いていく。ヘヴィさにはやや欠けるものの、粒の揃ったザクッとしたサウンドとピロピロギターで一気に突き進む大満足の直線型疾走メロデス。

■Lost In A Starless Aeon
ピロピロギターリフで軽快に始まる。
Djent風味も漂わせつつ、コーラスではMichael Amottが突然憑依し(笑)、初期Arch Enemyまんまのギターワークが飛び出して思わずニヤニヤ。

■In Frozen Fields
雪の結晶が降り注ぐが如くキラキラシンセで始まり、続いてVilleのパワフルなグロウルが被さるように襲いかかってくる。
途中のメロディアスなギターユニゾンが美しく白銀の大地に響く。北欧メロデスの良いところが詰まってる。

■March To War
勇壮に疾走するパワフルなメロデス。
いや、もはや声がグロウルじゃなかったら、完全に様式美メロディックスピードメタル。
ギターソロなんかSonata ArcticaやStratovarius 、いやX JAPANの風すら感じちゃう爽やかメタルに仕上がっております。

■Rebirth
ドコドコ系ドラムに乗せてハーモニクス全開のヘヴィなリフが踊る踊る。
ギターソロはインギーよろしく流麗なハーモニックマイナースケールを響かせ、しっかりとした様式美を見せつけてくれます。
割と音像がぼやけやすいメロデスという音楽において、このバンドのサウンドは音の粒が揃っていて、非常に引き締まっていて美しい。

■Reverence
ストリングス&ピアノの美しい旋律をギターがなぞり、展開していくインスト曲。

■Master Of The Dead
機関銃のような高速ドラムに、さらに速い高速機銃のようなギターリフが絡みあう衝撃の幕開け。
そのままの勢いで高速バスドラが大地を震わせながら、常にメロディ隊を煽りまくる緊張感溢れる疾走系メロデス。


■The Everlong Night
機械的な正確さでテクニカルに刻むリフに、グロウルが重く乗っかる。
ツインギターのユニゾンからソロの大アルペジオ大会までしっかりとしたテク&メロディを投下してくれるので、全世界のテクニカルギタリストの耳をちゃんと癒してくれます。

■At The Shores Of Silver Sand
開幕は疾走系でひたすら音を紡ぎまくる展開だが、突然ストリングスを挟んでテンポをスローに落とし、悲哀を嘆く慟哭系グロウルで鼓膜を震わせるコーラスに流れ込む。
ギターが相変わらずテクニカルに泣き咽びながら静かにフェードアウトしていく…


■My Home, My Grave Cleansing Rain
教会のパイプオルガンとクワイヤで荘厳に始まったかと思いきや、狂気のブラストビートが炸裂!!
切れ味鋭すぎるギターワークはもう冷徹の極みに達し、Voのグロウルは慟哭系から咆哮系に変化しており、アルバムのクライマックスを感じる。
最後一分間の超高速バスドラはもはやバグですわ、バグ。


総合満足度 84点(死ぬ前に脱退した才能あるメンバーがみんな復帰して欲しいレベル)

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