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The Rasmus『Dead Letters』(2003)

北欧フィンランドはヘルシンキ出身のメランコリックポップロックバンド、The Rasmus

リードボーカルであるLauri Ylönenを中心に、Eero Heinonen (bass)、Pauli Rantasalmi (guitar) 、Jarno Lahti (drums)の4人で1994年に結成。
バンド名はギリシャ語で「恋人」を意味するErasmus(エラスムス)に由来。

北欧の哀愁、メランコリック要素をふんだんに振り撒きながらも、キャッチーな歌メロありきの即効性メロディを軸とした曲作りは日本の90年代歌謡曲にも近い所がある。
また、同郷のNegativeDizzy Mizz LizzyLast Autumn’s Dreamsといった北欧バンドとよく比較され、その哀愁度合い論争は北欧ロック好きの間でよく酒の肴になる。


1996年にデビューアルバム『Peep』でシーンに飛び込むと、瞬く間に母国フィンランドでGoldディスクを獲得。
結成当初はファンク寄りの作風が多かったが、『Hell of a Tester』 (1998年)あたりから徐々にハードロック路線に転向、『Into』(2001年)では爽やかポップ風味も残しつつ、ダイナミックなサウンドに作風を転換した事が功を奏し、バンドは広く認知されることになる。
そんな勢いの中制作された本作、5枚目アルバムの『Dead Letters』は大ヒットとなり、世界29ヵ国100以上の都市を巡る大々的なツアーを伴うことになる。

初期のThe Rasmusの魅力が素晴らしい濃密さで彩られた北欧ポップロック、メランコリックロックが好きな方は必聴の一枚。

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* Lauri Ylönen – vocals
* Pauli Rantasalmi – guitar
* Eero Heinonen – bass
* Aki Hakala – drums
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■First Day Of My Life
哀愁漂うイントロから激エモキャッチーコーラスに突入する開幕チューン。
いきなり北欧の切なさを存分に感じながらシンガロング出来る。
中音域でちょっとハスキーボイスになるLauriがエロい。


■In The Shadows
B’zの某曲とイントロがそっくりでお馴染み。
The Rasmusお得意のハードロックの強さとポップソングの耳馴染みの良さの良いとこ取りの黄金の旋律が奏される名曲。


■Still Standing

苦おしい程のメランコリーを漂わせながらしっとり進むミドルテンポチューン。
キャッチーすぎる悲哀がゆっくりと刺さっていく。


■ In My Life
やや変拍子なリフからの淡々と進むヴァースにゆったりと横ノリの余裕をかましているとコーラスのエモすぎる展開に涙腺やられるヤツ。
最後のオーラスの盛り上がりは必聴of必聴。


■Time To Burn
ヘヴィなリフがかき鳴らされると同時にダークなグルーヴが蠢くロックナンバー。
コーラスでは虚空に溶けていくような淡いサウンドが北欧への憧憬を駆り立てる。


■Guilty
爽やさと同時に憂いを含んだまるで秋雨のような哀愁感がコーラスの「Guilty〜オーオー」で頂点に達する。
煽情感と共に夢幻泡影の儚さも味わえる罪深さ。名曲揃いの本作アルバムの中でも随一の煌めきを放つ逸曲。

■Not Like The Other Girls
アンニュイな雰囲気でイントロから揺蕩いを誘うスローな一曲。LAST AUTUMN'S DREAMSの世界観も感じる。
なんと言ってもギターソロの静かな爆発力よ。


■The One I Love
Mikael Erlandsson にいよいよ寄せてきてる感を感じつつも、甘くてハスキーなボイスのLauriの色気が止まらない一曲。
寂寥感のあるキーボードが、切なさ満点の音のうねりに巻き込まれていき、濃度の高い透明になっていく…


■Back In The Picture
爽快軽快なリズムドリブンなナンバー。
よく比較に出される哀愁系北欧バンドのNegativeやDizzy Mizz Lizzyにはあまり見られない系統の曲調で、The Rasmusの艶かしい爽やかさが全面に出ている。
ブリティッシュポップの香りもほんのりと遠くで。


■Funeral Song
ヴァースはどこに行くか分からない不協和音の奔流だが、コーラスは一転、ストリングスとオーケストレーションで厚みと深みを凝縮。
Lauriの慟哭にも似たハスキー哀メロ一発で湿り気を加えているロックチューン。




総合満足度 87点(罪深い程、クサメロが味わえるレベル)

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