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「ゲットアウト」

原題:Get Out 
監督:ジョーダン・ピール
制作国:アメリカ
製作年・上映時間:2017年 120min
キャスト:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ベティー・ガブリエル

 映画館では予告を何度も見せられていたが、猟奇的な印象が強く私は即座に却下だった。今回は友人の希望で観る展開となる。友人曰く「TVでもラジオでもこの映画の話を聞く、だから興味があった」と、でも、それだけの理由で時間を割く?と疑問ながらも同行。

 この見開かれた目は印象的で観るものに多くを想像させる。その想像こそが映画のハイライトでもある。

 冒頭導入で既に種明かしに近いことがある。それ以降も伏線とは言い難い「あからさま」な事柄が次々に起こる。映画初心者でもこの不協和音や違和感は容易に伝わる。このパーティー場面の会話全てが後に回収されオチを付ける。

 公式ページのキャスティングにも記載がなかったが彼女ベティー・ガブリエルの演技はそこに佇むだけで謎を抱えていた。怖いくらいの笑みと涙の本当の意味。辻褄合わせで解答を知って観ると、また、演技の深さが見える。

 例えが適切か悩むとろこだが敢えて比較すると日本でも少し前まではニュース性があったスカウトにその危うさが似ている。女優になれるという夢に釣られピンきりのプロダクションを只プロダクションと云うだけで「疑いながらも」信じて騙される。
 冒頭で彼女の家族である白人一家に紹介される前に「(恋人が)黒人であることは伝えているのか?」と尋ねている。未だ、この問いが死語になっていない、それも映画だけではない現実。だからこそこの映画は作られてもいる。

 映画を観ながら製作背景が気になって仕方なかった。後で確認すると監督は黒人の方と白人の方のハーフで健やかな子供時代とは言い切れなかったそう。
 ブラックジョークにしてはかなりキツイ。誰が笑うの?誰が楽しむのだろうか。監督は現実社会で差別が続くことを反映して映画最後のシーンを変えたとおっしゃっているが、これで胸のつかえは取れるのか。
 この主役が東洋人、もっと絞って日本人だとして私は映画として楽しめるのか?否だ。
 低予算ながら脚本はこなれ、笑いと失笑の際どい所を撮っていく。意表を突く展開もあるが、それで動員数が増えても素直に1位おめでとうが云えない。
★☆

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