原美術館2

ハラ ミュージアム アーク

 渋川へ来たのは二回目。前回訪れた時も道沿いに美術館案内があり気にはなったが、地方観光地でよく見かける箱だけかもしれないと敬遠してしまう。
 只、名前から原美術館と繋がる?という疑問は残したままさして確認もせずそのままだった。今回もさくらが目当てで美術館は全く予定には組み込まれていなかったが、蓋を開けると一番長く居たのは美術館になる。

 一眼レフではないので写真は参考に過ぎず木造の質感を伝えられないことが残念。美術館そのものつまり建築については設計を磯崎新アトリエ+KAJIMA DESIGNが行っており、日本建築学会にて評価され 2010 年作品選奨を受賞している。そうした受賞歴を知らずとも外観の佇まいに惹かれ、そして内部のあらゆるところのこだわりに触れると品川原美術館や庭園美術館同様に出展絵画等だけでなく美術館全体として楽しめる。

  海外でも時間が許す限り美術館や博物館に足を運ぶのは日本(都内美術館)と違い展示物と会話が出来る状況があるからだ。あのヴァチカン美術館でさえ混んでいるのは手前付近だけだ。都内から離れるだけで鑑賞者は少なくなり、部屋によっては貸し切り状態でしあわせな鑑賞となる。
 この城の長廊下を彷彿とさせる先にある離れの様なエリアは予想通り日本の古典の舞台仕様だった。円山応挙「淀川両岸図巻」の色鮮やかさと緻密さに息を飲み、狩野探幽が描く「李白観瀑図」は心象風景に近く、敢えて描かれていない部分までもが画の前に立つと浮かび上がってくるようだった。

                           *H.P.より
 この絵を観るためだけに設えられた空間の贅沢さ。写真右の空間の細長い下部に円山応挙「淀川両岸図巻」の巻物があり、向きを変えて双方向から観られる工夫がされていた。絵を知っているものが造った空間だ。

 人間には許容のcapacityがあると私は考えている。ある年に欲張り二日間続けてプラド美術館に足を運んだが、二日目は食傷したかのように絵に対して感性が働かなくなった。
 こじんまりとした美術館の展示数は解釈するにあたっても記憶するにも適しているのではないか。
 Topとこの最期にあげた写真双方に電線が走らないだけでまるで日本ではないような風景になる。*右の立方体に近い建物が古典が展示されているエリア

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