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おいしい記憶

まだ小さかった頃のご飯の記憶を
どこまで遡れるだろう。

好きだったもの、
苦手だったもの。

まだ小さかった頃、もんのすごーく偏食だった。
嫌いな理由もまちまちで、よく大病もせずに大人になれたなぁと思う。

幼稚園のあたりの主食は
ごま塩ごはん、玉子かけごはん。

とにかく、味がシンプル且つ、塩っぱいものが好きで
漬け物だけで…なんなら塩とご飯でもよかった。笑

肉の脂身とか魚の血合、五目餡かけのとろみ、
匂いとか食感が少しでも気になったらアウトだった。

あまりにおかずを食べないので
母はごま塩を隠したり、バランスよく食べさせる為に本当に苦労をしたらしい。

そんな偏食時代、
今でもはっきり覚えてるおかずがある。

ある日、幼稚園のお弁当に入っていた「いかフライ」
それまで平気で食べていたし、だから母もよくお弁当に入れてくれていた。

なのに、
その日に限って、口の中にイカの薄い皮だけが残って噛んでも噛んでも無くならなかった。
味はどんどん薄くなって、
「クニョクニョして気持ち悪い 」って思った瞬間に飲み込めなくなった。

通っていたのは仏教系の幼稚園で、食べ物を残すなんてもってのほか、
食べ終わるまでお庭で遊んじゃいけないルールだった。

たしか、最初は正直に「 いかフライ 残したい」って、先生に相談した気がする。
でも、案の定「 頑張って食べなさい 」的なやりとりがあって、口の中にはクニョクニョに丸まったイカの薄皮がずっとあって…

一旦、机に戻って…食べ終わりました。って嘘ついて…
速攻でバレて。笑
この世の終わりみたいに絶望して泣いた。

その後、どうやってお弁当の時間を終えたのかは全然覚えてないんだけど、、あの時の絶望感とイカの薄皮の食感はハッキリ覚えてる。

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(※こんな感じだったはず…)

はじめは断片的だけど、ひとつ思い出すと、どんどん蘇ってくる記憶。

もう、ごま塩ごはんだけでは生きていけないし、
イカフライであんなに絶望して泣いたり出来ないのは少し寂しい気もする。

小さいなりに必死に生きていたんだなぁ、と思う。

些細なことだけど、今では感じられないこと、湧かない感情があったことを忘れたくないなと思う。

“ あの頃 “ 美味しかった物も、美味しくなかった物も、今、思い出すとみんな恋しい。

おいしい記憶、
書き溜めていこうと思います。



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