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水無月彩椰の男木島滞在記・二~三日目のお話。

 二日目。高松に戻る船の都合もあるし、七時くらいに起きようかなぁー、なんて思っていたのですが、いやはやなんと、九時起床。この時点で九時の船には間に合わなくなりました。十一時と午後一時が、ひとまず想定される帰港時間です。

 やべぇと思って起きました。いや別に、何もやばくないんですけどね。あ、朝ごはんはこんな感じ。美味しかったです。

男木島ゆくるさんの朝ごはん。

 昨日から決めていたことですが(というより、下半身が筋肉痛になるのを初日から覚悟した上で決意したことですが)、水無月彩椰、男木島灯台へと向かいます。

 軽トラ一台がようやく通れるような山道を、そこそこ路面が整っていない山道を、水無月さん、頑張りました。なんならあの看板が出てくるまでのクソみたいな急勾配の坂道を登るのも頑張りました。その様子の一部はこちらに……。

 いやしかし、さすがは島です。どこからどこを見ても見事なオーシャンビュー。左手は崖、右手は山、行くも帰るも山道ということを除けば、それはそれはたいへん綺麗な眺めです。眺めだけはね。

男木島灯台、到着!
併設されていた資料館にて。
灯台守さんのお話かな?
男木島はアニメ『サマータイムレンダ』や、Keyのノベルゲーム『Summer Pockets』の聖地でもあります。キービジュアル。
ヒロインの一人、紬・ヴェンダースです。男木島灯台をモチーフとした灯台が作中に登場しています。そっくりそのままです。
灯台入口のあたりから浜辺に降りれる。

 疲れたので帰ります。片道三十分。

道中。草ぼうぼうの山道。
裏路地。
裏路地その二。
古い電柱。まさかの木製。

 次の船は十一時。あと一時間ほど空きがあるので、一日目に寄りたかったけど躊躇した場所に意を決してお邪魔することにしました。それが『ねこポケハウス』。豊爺という(もはや完全に)おじいちゃんの家なのですが、猫好きの方、また『Summer Pockets』のファンの方を招き入れてくれるという有名な場所です。

『男木島ねこポケの会』
猫の写真がたくさん。『てんめんじゃん』というのは、豊爺が飼っている猫ちゃん三匹の名前。あとで写真見せるから待ってて。()
サマポケ関連のグッズ。
ある意味Keyファンの聖地かもしれない。

 豊爺にTwitterでお邪魔することを伝えてから中に上がりました。完全におじいちゃんの家。平屋なのでそこそこ広い。個人宅ということで無闇矢鱈に写真は上げられないのですが、圧巻のグッズ部屋だけ紹介させてください……!!!!!

『Summer Pockets』公式グッズ。ファンの方々が寄贈したものだとか……。
鴨居に飾ってある絵も、この地を訪れた旅人が残していったもの……。フォロワーさんの名前もちらほらとありました。

 あまりにも違和感のなさすぎる『おじいちゃんの家』状態に、完全にリラックスしてしまった水無月さんがいたことをここに告白します。これもう実家だよ。 

しかも泊まれる。クソ安い。『利益追求してるわけじゃないから、赤字にならなきゃいい』とのこと。さすがだと思った。豊爺の善意とファンの熱力でねこポケハウスは成り立っている。

 迷わずに札を突っ込みました。

 この日、豊爺が帰宅するのは高松港からの最終便に乗って七時とのこと。今は十一時ほど。泊まると決めたので、船の時間なんか気にしないでいいんだわ。

 せっかくなので執筆やるぞー! ……と意気込んだ小説家の水無月先生ですが、いくらリラックスしたとはいっても他人の家、そう簡単にホイホイ書けるわけじゃありません。しゃーなし。はーあ。

阿呆みたいに散歩した。

 二日目はちょっと散歩に行って戻ってまた散歩に行って戻ってまた散歩に行くとか訳の分からないムーブしてました。

神井戸のところで寝てる子。ネネちゃんというらしい。豊爺に教えてもらった。
潮風に吹かれてるから錆びやすい?
ネネちゃんその二。
加茂神社。男木漁港の近くにある。
貝がそこらにいっぱいあった。
錆びついたやつその二。
男木漁港の近くの浜辺。
ネネちゃんその三。
豊爺の家。めんちゃんとじゃんくん。
高低差エグすぎる。
加茂神社その二。
この船、使ってるの……?()
男木漁港の隣の浜辺。こんなんもうプライベートビーチじゃん。島民まったくいなかった。()

 島の夕焼け、めちゃくちゃ綺麗でした……。同じところに行って何回も撮った気がしています。豊玉姫神社の階段を昇って、その途中で港を見ながら悠然と時間だけが過ぎていくのを待つ……。前日も同じことをしていましたが、いやはや、これがまったく飽きないんだよねぇ。

 そんなこんなで何もせず(?)に時間を潰し、ようやく夜の七時に。豊爺が帰ってきました。おじいちゃんおかえりー、と言いたくなるような気もした。豊爺はみんなのおじいちゃんなんだ……。()

 お寿司とおでんをいただきました。とても美味しかったです。ありがとうございました。居間にあるテレビには、ずっと『Summer Pockets』のプレイ動画が流れていました。懐かしい……このシーンよく見た……。っていう感情。よかった。

 推しは誰だとか、キャラクターについてのあれこれだとかを話したり。(サマポケ民にだけ分かるやつ言うね。『蒼は色気がある。女っぽい』って豊爺が言ってた。この人は信頼できるなって思った)

 他にも私が小説家として活動していることや、執筆の下見のために島に来たことを話しました。『Summer Pockets』ファンが集まる場所柄、同人誌なども寄贈されるらしく。他にもラノベ作家さんの著書が置いてあったのを見て、少し驚きました。商業作家も来てるんですね……。

サマポケ同人誌などなど。

 いま私は商業出版のプロジェクトとして『わふくストーリー』を執筆していますが、無事に書籍の発刊ができたら、きっちりサインして、ねこポケハウスに寄贈します。それを執筆のモチベにしたい! 豊爺にもきちんと伝えました。はい。()

 さらにさらに、いち『Summer Pockets』ファンとしても、小説家というスキルを活かして、ちょっと恩返しをしたくなりました。もともと私は二次創作から文芸創作の道に足を踏み入れたので、これはある意味、原点回帰かもしれない……?

 ──つまるところ、『Summer Pockets』の二次創作小説を書こうと思います。推しであるイラストレーターのかみゆうさんと合作やりたいね、という話になりました。いぇい。ぼちぼち書いていって、来年あたりの同人誌即売会などに出店できたらいいなぁと思っています。

推し絵師への安定したオタクムーブ。

 推し絵師への安定したオタクムーブ。(大事なことなので二回言いました)

我儘を言っても付き合ってくれるの本当にありがたいとしか言いようがないです。

 本業に支障が出ないように、こちらはあくまでも息抜き・趣味でやっていきます。とはいえやるからには本気で取り組んでいくので、サマポケファンの皆さん、ぜひぜひ応援よろしくお願いします!

 ……まぁ後日談はこのあたりにして。

 お夕食をいただいた水無月さんは、豊爺に入れてもらったお風呂をいただいて(めちゃくちゃ熱かった。お湯はり六十度が満杯になってた。さすがに水で埋めた。こういうところもおじいちゃんの家って感じがしてすっごく大好き)、二日目の旅の疲れを癒しに癒しまくったのでした。

 ところでそんな豊爺に関するめちゃくちゃ感動したエピソードをひとつ。

 物書きに対する理解が深すぎて泣いた。豊爺にはめちゃくちゃ感謝です……。

なお進捗はこれ。フォロワーに散々言われたけど面白かったから許す。

 ちょっと頑張ってこうなった。

 疲れたので十二時半に就寝。
 そして九時に起床。

 金銭的に連泊しようと思えば連泊もできましたが、この日は二月六日、妹の誕生日でした。翌日に誕生日会をする予定だったので、仕方なく帰らねばなりません……。午後一時の船で島を出る予定でいたので、名残惜しさを感じながら、最後の散策です。はいここから写真の数々。

 そんなこんなで時間になって、私は泣く泣くねこポケハウスを後にしました。おじいちゃんの家から帰りたくない、もっとここにいる! と駄々をこねる子供の気持ちが分かった気がします。おじいちゃんの家は勿論、島からも離れたくないんだけど水無月さんは。帰りたくない。()

ねこポケハウスの庭。BBQとかやったりする時もあるらしいです。いいな。

 似たような写真ばかり撮ってるところに、島への言い知れぬ執着を感じる。どんだけ名残惜しいんだお前、と言われると思うけど、めちゃくちゃ名残惜しかったです本当に。ここに定住したい。船が来るのを寂しい思いをして眺めていました。マジで本当に離れたくなかった。()

 サマポケ民なら分かってもらえると思うんですが(n回目)、出航したあと、船の中でのBGMはあれでした。予想してみてください。予想しましたか? じゃあ答え合わせです。あれですよ、あれ。

『夏を刻んだ、波の音は……』です。異論はないはず。エンディング感が強すぎてピッタリすぎた。あ、やっぱり『Lasting Moment』でも正解とします。

 ちなみにちょっと元気をもらえたやつ。

 そんなこんなで、どんぶらこ、どんぶらこ──と揺られていたら、高松港に着いてしまいました。ここからでも男木島が見えることに気付き、さらに悲しくなりました。何度も何度も島が見えなくなるまで振り返ってました。ガチです。

 一泊二日の予定が期せずして二泊三日となりましたが、そのぶんだけとても充実した、またとても寂しい思いをした旅でした。仕事の一環という形で下見に来たのは勿論そうなんですが、島の人たちの温かさを直に感じてしまうと、何だかそれを手放すのが酷く惜しいというか……。

 環境という面でも、島は私の住んでいる場所とは大きく異なります。海を見て落ち着くのは、これはもう、人間の本能なんじゃなかろうかとまで思いました。何か嫌なことがあっても(私の性格的にそんなことはない)、疲れても、気分転換のために海を見てリフレッシュできる。小説家にとっては理想的な場所です。

 こういう場所で幼少期から過ごして幼馴染を作って仲良くしてそれでもいつかは大人になって島を離れてでもたまには戻ってきて皆と顔を合わせて思い出に浸るなどしたい人生だった……。(一呼吸)

 結論:島はいいぞ。

 今度はまた、夏に行きます。完全にプライベートで。ただいまって言わせてほしい。誰かにおかえり、って言ってもらいたい気がする。寝て起きたら、おはようって言わせてほしい……なんちゃって。

 これにて水無月彩椰の男木島滞在記、終了となります。今は四時。書き始めたのが十一時過ぎなので、お風呂に入ってた時間とか抜けば、四時間くらい書いてたんでしょうかね、これ。我ながら頑張りました。疲れたのでもう寝ます。おやすみなさい。明日、目が覚めたら、「おはよう」って言ってください。

 ……ごめん嘘。そんなのどうでもいいので、私の書いた小説、読んでください。この小説を書く時の参考にするために、わざわざ群馬から男木島まで行ったんです。片道七時間もかけてさ!!!!!

「──大丈夫です。私、八月三十一日に、寿命で消滅しますから」

人付き合いが苦手な高校生・四宮夏月が引き取ったのは、”白波”と名乗る祖父の遺産、余命一ヶ月のバーチャル・ヒューマノイドだった。

遺品整理のために田舎の離島へと帰省した彼は、夏休みの間だけ、白波のマスターとして一つ屋根の下で暮らすことに。

しかし家事もままならないポンコツヒューマノイドは、「マスターの頼みをなんでも叶えます!」と、自らの有用性を証明しようとする。

夏月が頼んだのは、『十数年前にこの島で遊んだ初恋の相手』を探すことだった。

「──これが最後の夏休みなので、せめて、この夏休みを楽しく過ごせたら嬉しいです」

世界規模の海面上昇により沈みゆく運命にある小さな島で、穏やかに消滅を迎えるヒューマノイドは、”最期の夏休み”をマスターと過ごす。

これは夏の哀愁とノスタルジー、そして”夏休みの過ごし方”を描いた、どこか懐かしくて物悲しい、狂おしくも儚い夏物語。

 現在、お試しという形で冒頭の二話だけを公開しています。三月あたりから週刊連載が始まります! さらにこの作品、合同会社スタジオン様からの商業出版が決まっています! 最終的には書籍になるので、皆さまぜひぜひ読んでくださいね。

 夏が好きな人、田舎の雰囲気が好きな人。或いは楽しかった夏休みをもう一度、思い出してみたい人──とにかく綺麗な文章というのが、水無月彩椰の特徴です。自信はあるので読んでみてください。夏の温度と匂いを感じられますよ。

『サマーウォーズ』『ひぐらしのなく頃に』『サマータイムレンダ』、あとは単純にKey作品、それこそ『AIR』『Summer Pockets』が好きな人とか、特に好みだと思うんですが、どうでしょう? 

 ……まぁ、最低限の宣伝を果たしたところで、このあたりで本当に寝ます。宣伝しなきゃ、って気付いて無理やり書き足したので。もう五千文字だよ、あーあ。このスピード感を執筆に活かせないかなぁ……。小説とエッセイは違うか。

 ガチで疲れたので寝ます。おやすみ!

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