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神社の娘に依る《絵馬に願ひを》考察其の壱「基本設定について」&「夜の因果が見せた夢」

Sound Horizonの最新作「絵馬に願ひを(PE)」が発売されました。

ローランにしてリアル神社の娘(ついでに現役神職)である私が、せっかくなのでこの新作について、色々語りたいと思いますというか、語らせてください!!!(笑)

ローランの皆さんは、既に考察を進めておられると思います。私、考察は余り得意ではないので、是非とも”神社的な内容に苦戦中”のローランの考察の参考になればとっても嬉しいです貴方の其の考察是非とも聞かせてください!

神社の基本知識編として、この章では基本設定について触れたいと思います。

きっと、多分皆が必要なのは「浪欒神社」の解説だよね^^;

でもでも、ここ、一番大事だと思うので最初に書きます!!!!!


★主人公  佐久夜 姫子(木花咲耶姫から、と思われる)

○コノハナサクヤヒメは神話で美しい女神とされ、天孫降臨で天界から降りてきたニニギノミコトの妻になります。身籠った際に浮気を疑われ産屋に火を放って燃え盛る小屋の中で出産し身の潔白を証明し火の神を無事に生んでいます。

※同じ火の神を産んでも、この時は母(コノハナサクヤヒメ)は無事なんですが。


★神社名

物語冒頭で、

「陽葦火山神社」ひあしひやまじんじゃに参拝した筈の女の子(主人公の姫子)が

「私が生まれ育ったのは・・・浪欒神社」と言っています。

この、「陽葦火山神社」は姫子が生まれ育った神社であり、姫子の父(陽葦火山神社の宮司)が奉仕する神社・・・なのですが。

この社名から、物語の設定が一つ判明します。その後の「夜の因果が見せた夢」にも関わりますが、大設定なので先に書いちゃいます。

陽(生きるの象徴)葦(葦の小舟に乗せて流されたヒルコ)火(イザナミから生まれる時にイザナミを焼いて殺した火の神様カグツチ)山(山の意味は後述)神社

つまり、

ヒルコ(生まれられず流された子)死=生(母は生きる) 

カグツチ(生まれた子)生=死(母死亡)

と、突然カグツチとかサンホラにも出てこない名前を出してなんだなんだってなると思うので、以下に古事記の一説を其々噛み砕いて書きます。まずヒルコから。

○イザナギ(男)とイザナミ(女)は夫婦の神様で、この宇宙を産んだ神々に子を生むよう(日本列島や生きとし生けるものを生じるよう)言われて、男女で子を生む事にしました。まず、イザナミからイザナギに声をかけて子供を作ったところ、不具の子が生まれてしまったため、葦の小舟に乗せて流してしまいました。

流した子が、ヒルコになります。

因果というのは、イザナギイザナミが、この最初の子を流してしまった因果が、現在まで人類の出産に影響を与えている、という《解釈》かなと思います。

○イザナミが最後に火の神を出産した際に、その火で隠部を焼かれて死んでしまいます。それに怒ったイザナギが、カグツチを刀で切り殺し、カグツチの死体から新たな神が生まれました。

カグツチは、生まれる事で母殺しとなり父親に殺されます。このくだり、Romanで記憶にありますね。11文字のメッサージュ的なアレです。Romanでは、殺されはしませんでしたが、憎まれて育児放棄されていました。焔では生まれなかった子供がいました。

神社名、「陽葦火山神社」には、生まれてくる子生まれられなかった子という意味が込められているのではと思います。

※私はまだ見れていませんが、少年ルートの少年が恐らくカグツチだと思います。


次に「浪欒神社」ですが、これはもう「Roran神社」

同タイトルの曲でも途中の歌詞で歌われている「浪欒神郡」なんかまさに、

「君たちローランがこの神社の神様であるので、君たちの神意によって物語を決めてくれ給へ」と、Revo宮司が言っているようにしか聞こえませんでした(笑)

浪欒とはRoranのことで、神意を発揮するのはRoranということ。

つまり、姫子は神社の娘から、ローランの神意を具現化する(巫女)になったと言う訳。


★宮司は誰だ

で、其々の神社の宮司を以下に。

・陽葦火山神社宮司=姫子の父

※神話でオオヤマツミはコノハナサクヤヒメの父です。山岳信仰の御祭神なので、神社名が「陽葦火神社」になっていると推察されます。

・浪欒神社宮司=神社関係者(Revoと似て非なるもの)

この幻想絵巻の地平線で、御祭神である《浪欒神群(ファンの皆様)》の真意を具現化する巫女(姫子)の上司であり責任者ってことです。


★狛狼?!?!

狛犬の場所には狛狼。狛狼は、埼玉県に鎮座する三峰神社にも存在しますが、この場合は三峰神社とは似て非なるもので、単に

大神≒狼 という、Revoさんのいつものダジャレでいいと思う。

ちなみに大神とは、神社で祝詞を読む際に御祭神のことを「○○の大神」と称える名称になります。


★ジャケット絵 

Romanのモチーフである、朝(青・生・陽)と夜(紫・死・月)が入っています。鳥居、灯籠、狛狼の色と形がそれです。


★安産祈願

もしも神話のイザナギ・イザナミがヒルコを流した因果が巡っているのならば、流産に対する贖罪をし、因果を回収しなければならない。

最初の参拝者である伊坂奈美は、イザナミからきていると思われます。イザナミについては前述の通り。夜の因果=最初にヒルコを流した事=私が悪い(子産みの手順を間違えた=私が先に声をかけた)

※ひとつ不明なのは、イザナミには神話上「母神」が居ないので、”私の母も参った神社”のくだりは、深く考えなくて良いと思われる。


★忘れ去られた絵馬

今回、めちゃくちゃ重要なアイテムになっている絵馬。

最初の参拝者の絵馬が、赤く光って選択肢へと移る訳ですが、その情景描写が

「星の綺麗な晩秋の夜、虚空に放たれし赤の光。斯くして、責務は忘れ去られた一枚の絵馬から始まった・・・。」

となっています。忘れ去られた一枚の絵馬。

宮司が現在闘病中で不在の陽葦火山神社としても、幻想絵巻の世界の浪欒神社にしても、この伊坂奈美の願いは、時系列的に「忘れ去られるほど昔の絵馬」だということでしょうか。しかも、星の綺麗な夜とかハロウィンの夜じゃないですか。

この辺は、「浪欒神社」の考察で大いに触れたいので、次回更新をお待ちください。

※本考察はプロローグエディション時点で書き記したものです