南部風鈴の涼音@京都・清水寺 フランスの週刊フードニュース 2023.09.15
今週のひとこと
あっという間に1ヶ月の日本の滞在が終わって、パリに戻ってもう10日が経とうとしています。酷暑の夏でした。9月後半からその暑さも和らいでいくようですので、高齢の両親も思い、安心しています。
挨拶回りの京都にて、合間を縫って訪れた清水寺。噂に違うことなく、この酷暑においても京都の世界遺産を訪ねようと、国籍を違えた観光客で溢れかえっておりましたが、音羽山から見渡す境内の美しさには、久々に息をのみました。
あまりにも暑いため、仁王門をくぐり、いくつかの建物を仰いで、裏道からそのまま引き返そうかと思いましたが、清水の舞台へ続く本堂への回廊に、たくさんの風鈴がつり下げられており、風の涼音は合奏を奏で、見学の誘い水となっていました。
聞けば、京都府内に住む岩手県出身の方々が「京都清水寺で南部風鈴を愛でる会」を立ち上げたそう。10年前から、伝統的工芸品である南部鉄器の風鈴を清水寺に飾り付けて、府県の交流を深めるという行事となっているようです。8月いっぱいの夏の風物詩となっていました。
音羽山という眺めの良い場所、高台にあるからこそ、風が吹き抜けて、飾り付けた500もの風鈴が、一斉に音色を奏でていたのは、思い出に残るひとときとなりました。
ところで、風鈴の歴史は中国に遡ることができるそうです。風の向きやその鳴り方で吉凶を占ったということ。青銅製の「風鐸」が日本に仏教とともに渡って、寺の四隅や仏塔に吊るすようになったといいますから、南部鉄器ではありますが、清水寺で風鈴の音を愛でる行事は、そんな昔に立ち戻ることにもなったとも思います。
7月7日の七夕には笹に願い事を認めた短冊を飾りますが、この清水寺の風鈴には、その舌に短冊がくくりつけてあり、こちらにも、さまざまな願い事が書き留められていました。
みなさん、よい新学期を迎えていらっしゃいますように!
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