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雨雲を突き破る『MOTIVES』の輝き

梅雨明けが発表されたというのに、天気が落ち着かない日はまだまだ続く。keigo pre.『MOTIVES』が横浜bayjungleで開催された7月22日(金)も、そんな日だった。どこまでも覆い尽くされた重たい雲。それを突き破るように、それぞれの思いをのせた音楽が響いた。

トップバッターを飾ったのは“ヴァジリアントマト”。赤暗い照明の中現れた彼らは、その圧倒的な音圧を『エレクトリカル商店街』から観客に浴びせる。ステージに現れた姿は、どこか挙動不審な印象があったのが、ライブが始まった瞬間にその空気を一気に取り払ってみせた。シングルCDになっている『mステに出たい』はメロコアど真ん中の曲で、ヴァジトマの実力が存分に発揮されている。その後も低音が腹の底に響く『カブトムシ』、ドラムのコンビネーションが冴え渡る『メ○ゾーマ』へと続く。大人っぽいサウンドにラップのアクセントが引き立つ『キャッシングカード』では、気持ちのいいミディアムテンポに歌声を響かせた。ワタル(vo.)の「この場でアンコールという形になります。いいですか?」というMCにより導かれたのは『スター☆ライト』。「童貞!」とコール&レスポンスする姿は、ダサさを突き詰めたカッコよさしかなかった。

ドラムのクリックで幕開けしたのは、ガールズ3ピースバンド"リッカ"だ。この日が解散ライブとなる彼女達の顔には、わずかな緊張と未来への希望が浮かぶ。柔らかな手首で『20』を奏でるギターの音色は、初夏のそよ風のように優しい。そよ風に乗る花帆(vo)の声は、とても透明度が高く心が浄化されていくのがわかる。続く『晴れのち』でも、その伸びやかな声が響いた。「別れがあるから出会いがある」という紹介で始まったのは『Good bye』。力強いリズム隊が、その切なさを根底でしっかりと支えていた。語りかけるように『明日を探しに行くよ』を歌い、あっという間に最後の曲となる。解散を彩ったのは『ソレハヒカリ』。ギターのカッティングが映えるアップチューンな曲で、「ありがとう」と音を鳴らす彼女たちの顔には笑みがこぼれていた。これから別々の道に歩みだす彼女たち。きっと各々の空の下で素敵な星となることだろう。

可愛らしい声でバンド名をコールしたのは、“ReeSyant”。先月から活動を始めたばかりなだけあって、とても初々しい。ポップな『赤いヒカリ』をアイコンタクトをとりながら、楽しそうに披露。スラップやドラムのフィルなど、やりたいことをギュッと詰め込んだ『リグレット』、女の子っぽい歌詞が特徴的な『僕にとって』と演奏は続いていく。最後を飾ったのは、あおちゃん(vo.)が1番好きな曲だという『アリエス』。王道のコード進行により進む曲で、彼女たちの音楽を一生懸命に伝える姿が印象的だった。バンドやライブを始めたばかりの音を重ねているだけで、わくわくする気持ち。それが十分に伝わってくる素敵な時間となった。

スモークの中、颯爽と現れたのは通称サヨサイと呼ばれるツインボーカルバンド、“サヨナラの最終回”だ。ほりうま(vo.)が「横浜に火を吹かせてやろうぜ!」と告げるとショータイムはスタート。『モノクロの街』では自然とクラップが沸き、肌でわかるように空気が加熱していく。カリカリしたベースとギターのバッキングが心地いい『Lost BLUE』、テクニカルなリフとドラムのコンビネーションがピタリと決まる『向日葵』と熱いパフォーマンスを繰り広げる。艶やかなアカペラで封を切る『トライアンドエアー』は、リリックのビート感が抜群だ。ラストソングとなったのは『ONE for ONE』。「ONE for ONE 」のコール&レスポンスが会場に響き渡り、ライブハウスは一足早く熱帯夜と化した。背中を丸っと預けられる安定感のあるリズム隊、変幻自在なギタボからなる彼らは、間違いなく注目株と言えるだろう。

怪しいオルゴールのようなSEにより登場したのは、本日の主役“雨音コンプレックス”。人差し指をみんなで合わせ、互いに魔法を掛け合うとパーティ開始の合図である。エミリーンゴ(vo.)の引き語りによる『SEKAIKAN』で一気に雨音ワールドに引き込むと、魅惑的なイントロで始まる『カレーライスと福神漬けラブソング~シチューver.~』で悲恋の切なさをこれでもかと届ける。メンバー紹介を兼ねた『夜光虫』のソロもバッチリ決め、いくつものステージを経て強者になった証を示した。ファンクのリズムが楽しい振り付けつきの『Party hero』、端切れのいいキメが引き立つ『パラドール』とその実力を余すことなく発揮する。最後の曲となったのはエミリーがピンボの『Rambler』。ステージを降りて歩き回る無邪気な彼女の姿に、思わず観客の頬がほころぶ。エミリーンゴは演奏を終えると「ありがとー!」と告げ、足早に去っていった。しかし、拍手は鳴りやまず、再び4人の少女はステージに舞い戻される。アンコールに披露したのは、代表曲である『SUPIKA』。歴史が長い曲なだけあり安定感は抜群で、この日もっとも力強い演奏を会場に届けた。エミリーンゴはMCで「ツアファイに向けて、届けられるものの量を増やしたい」と話していた。数多くのライブを重ねて、彼女たちがより魅力的になっていくのは間違いない。

ライブ終わり外にでると、空を覆っていた雲はどこかへ消え、代わりに星が浮かんでいた。夜空に煌めく一等星。この日、横浜で輝いた星たちの光がより多くの人に届くことを祈るばかりだ。

横浜bay jungleでは8/17-18の2daysでhiko pre. 『Comeback Kid』と『MOTIVES』主催keigoとのコラボイベントが開催される。こちらからも、目が離せない。

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参照
ヴァジリアントマト twitter
リッカ twitter
ReeSyant twitter
サヨナラの最終回 twitter
雨音コンプレックス twitter

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