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ドッジボールクラブの1年間

我が家の娘は、運動音痴だ。

“またそんな、親が勝手に決めつけて”
“多様性の時代です!それでいいと思います”
“本人が楽しんでいれば良くないですか?”
などの声が今、一気に耳に届いた気がするのだけど、
そう、そう。その通りなの!
全然その通りだけど、運動が苦手なのは確かで、
どのくらい苦手かというと、走る時に手と足が同時に出ちゃうくらいの苦手っぽさはある。
私も夫も運動は得意ではないし、気持ちがすんごくわかるんだ。
そして、本人は体を動かすことを、さほど楽しいと思っていない感じだし。
それも全く同じなので、
血って争えないのねぇ。なのです。

で、そんな、娘が、何を血迷ったか、放課後のクラブ活動で、ドッジボールを選んだ。
で、今年度は、丸っと1年間、ドッジボールに勤しんでいたのだ。

「ママ、ドッジボールクラブに入ってもいい?」
って聞かれた時には、ひっくり返るかと思った。
おっとりと、ぬいぐるみの髪を撫でてヘアゴムで結んだり、ニコニコと犬の本を眺めてふわふわと妄想してるタイプの女子なのだ、うちの長女は。

「え、いいけど、ドッジボールって何か知ってる?」
と聞いてみたけど
「うん😊しってるよ!やってみたいの」
というので、どうぞどうぞと促した。
仲良しの女の子も誘ったら、一緒に入ることになったらしいし。
よしよし。頑張れ。と、応援していた。

数ヶ月経って、彼女が出した結論は
「わたし、ドッジボール、ぜんぜん好きじゃないわ」
だったので、まぁ、そうでしょうね。と、話を聞いた。

「◯◯ちゃんも辞めちゃったし、当たるとめっちゃ痛いし、つらい。」

と長女。
おぉ、私も辞めたいってゆう相談かな?と察した。
別にそれでいいよ!と言うつもりだった。
放課後の時間が苦痛になっても気の毒だし。
苦手なことをやるよりは、得意なことや好きなことをやる方がいいに決まってる。

だけど、長女は意外な結論をだしていた。

「来年は絶対やらないけど、最後まで頑張ってみるわ」
と言うのだ。
そして、私の言葉を待たずに、その場を去った。

苦手なドッジボールを通して、成長をしている!

それはいいことのような気がしたから、
そっと応援することにした。

長女は、表向きには、負けず嫌いではない。
ドッジボールもどんどん当たるし、どんどん逃げるらしい。
そんな自分に対して、不甲斐ない!とか、悔しい!みたいな感情もうすい。
でも
「途中で離脱するのは悔しい」
と思っているようだった。
密かにメラメラ燃えてるのだ。
私たちの、そしてチームメイトも知らないところで。
彼女なりの闘志を燃やしてる。

親の私たちにできることなんて、応援することくらいだから、
「頑張れ!」
と伝えた。



1年間のうちに、電話で呼び出しをされるくらいの怪我は1回。
その他にも、ドッジボール大好きな学年が上の男子からボールをくらいまくり、泣きながら頑張った日もあるらしい。

「やめたらいいよ!全然やめていいよ!」

と私は言うんだけど、

「せっかくここまでやったから、やめない!けど、来年はやらない!」

と、いいながら、なんとか一年やってきた。


で、その集大成とも言える大会があるらしいと、小耳に挟んだ。というか、そういうお便りをもらってきた。

「え、大会なんかあんの?大丈夫!?」
と、聞くと
「うん、私もそう思ってる」
と、苦笑いの長女。
「でも、みんな出るって決まってるから出るしかないわ」
と、腹を括っていた。


大会に向けての練習が少しずつ増えていく中で、
「あのね!今日、初めてドッジボールクラブで褒められたんだよ!」
と嬉しそうに帰宅した日があった。

おぉ!と思った。
ボールをキャッチしたのかな?
ボールを当てることができたのかも!
よくよく話を聞いてみると

「ううん!あなたは、逃げるのがうまいね!って褒められたの!」

ということだった。
いいよいいよ!それで気持ちが乗ってるなら、是非逃げ続けてください!
因みに、一年やったけど、
まだ、一度もボールを投げたこともキャッチしたこともないということも、その時教えてくれた。

ちょっと面白いな、と思って、思わず笑ってしまった。

流石の私でも、ドッジボールの醍醐味は、相手からボールをキャッチし、相手にボールを当てることだということは知っていたし、
その楽しさを、小学生のころは味わっていたはず!!

娘よ!まじで、ドッジボールクラブ、苦痛だったろうな!!!


そんなこんなで迎えた大会当日。
ガチガチに緊張した、長女は、コートの外にいた。
外野じゃないよ、補欠だよ。
1人だけビブスが与えられず、コートの外で応援していた。
「お姉ちゃん、試合出ないんかい!」
と、家族みんなが思ってることを次女が口にしてくれた。
まぁ、それでよかったじゃん。と思っていたけど、
試合に出ないのは、一試合目だけらしい。

一試合目終了後、私たちのところにかけよってきて
「次は出るから。私は、逃げるだけで良いって言われてるから頑張るわ」
と長女。

結局、2試合目、3試合目と連続で試合に出て、
見せ場は全くないけれど、
敵のボールも味方のボールも、ボールをひょいとよけて、
私たち夫婦を笑わせた。

いいぞ!いいぞ!
長女は、逃げるだけでいいんだから!!!!
ひょい!ひょい!
逃げる長女がかっこいいし、誇らしい。
結局ボールを当てられることもあったけど、
泣かずに怖がらずに、あのコートに立ったのだ。偉いじゃないか!

そして、最後の試合、1点差で負けてしまった時には、
「負けて悔しい」
と、うっすら涙を浮かべていた。

…!

1年間やめずに頑張ってよかったね!
もし、あの時、友達と一緒にやめてたら、
こんな感情を知らずに
ただただ、ドッジボールに苦手意識を持ったままだったと思うんだよ。

でも、長女はやめなかった!
やめなかったから、悔しいんだ。
本当によく頑張ったなと思う。
親バカでかまわない。
本当によく頑張ったのだ。



帰宅後、お疲れ様のケーキを食べながら、あれこれ話す長女は、ドッジボールから解放されて、気持ちが軽くなったのか、試合の裏話やら、ドッジボールに当たるとどんなに痛いかなどを力説してくれた。

そして、話の最後に、こんなことを口走った。

「パパ、ママ、今日は見にきてくれてありがとう!わたし、来年もドッジボールやろうかな、とおもってる!」


ひっくり返るかと思ったけど、
何を選択しても、私たちは応援するのみ!

頑張れ長女!!!

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