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ドケチ探偵と貴族

以下、夫婦問題のどうしようもない気持ちを消化させるために書いたものを、後日取り出して、ちょっとチンしたものです。
*チンする:レンジで温めるの意

(はじまりはじまり…)

今夫と冷戦中です。そうですよ、私が悪いんですよ、噴火したから。
ごめんね。
とLINEで言ってみたけど、たぶん大丈夫です、といういまいちな返事だったので、もう一度見える化してみた。

噴火ってなんやねん。と自分ながらいつも思う。夫婦問題のtipsに、不満はこまめに出しましょう、不満を溜めこむ前に軽く話せる雰囲気を出しましょう、とか書いてある。

でもなー、無理やねん。だって夫に気に入られたいやん。日々夫のご機嫌とって、愛すべきいい奥さんやと思われたいやん。で、自ら率先して不満を溜め込んでまうんやん。

うちの夫は3高だ(バブルか!)。高身長、高収入、高顔面偏差値。学歴は不問です。ちょっとおでこが拡大していることは、新しいフィールドが開拓されつつあると、ポジティブにとらえる。さらに、表面は優しいけど中身は肉食の、男らしさを兼ね備えてるロールキャベツ男子!(50TA風)

私が必死のパッチで勉強したことで得られた成果はこの夫ぐらいだと思っている。こんな素晴らしい人が市場に余ってて、しかもこんな、間取りがおかし過ぎる難あり物件を引き取ってくれたのは、私が経済的に自立していたから?と自負しております。

そんな素晴らしい夫でも憎くてタマランチな時がある。だって1番近くで私の自由を侵害する存在なのだ。

くそ高いオーガニックなんちゃらを嬉しそうに買う私を、冷ややかに見ている夫。つけっぱなしの電気を片っ端から消していく夫。休日に予定を盛り沢山に入れ込む私に、予定は1日2個まで、と言ってくる夫(これでも1個から2個に許容された)。

て、書いてたら、なんか夫の方が人間として正しい気がしてきていやだわ…。

そう、唯一私の方が正しそうな証拠?としては、旅行に誘うと、やめとくわーというのが悲しい。

私の理想としては、オーガニックなんちゃらが買えてよかったね、また戻ってくる時のために電気つけとくね、休みの日には楽しいこといっぱいしようね、君となら世界一周したいな(なぜかシティボーイ風)、とか言われたら愛情を感じるのに、と思ってしまう。

でも絶対そんなことは言わないだろう。だって全て、彼の「ドケチ精神」という根本的なポリシーに関わる問題だからだ。愛する夫の正体は、ドケチ探偵だったのだ。(言いたかっただけ。)

私は夫を心底愛している。だからこそ彼のドケチ精神も愛したいと思う。私のダメなところをいっぱい許してくれてるし。

だけど、私は貴族の生まれなのだ。(実際は田舎の地主。)パンがなければ、お菓子を食べたらいいのに、とか言っちゃうのだ。今、パンがなけれ「ば」を入力しようとしたら何度やっても、パンがなけれ馬肉、と予測変換されるぐらい、グルマンドなのだ。

小学生の時なんて、他の子より早く冬休みに入ることになって、担任の先生から「アプ子さんはおフランスに行かれるので、今日から休みです」とか言われちゃう休暇の過ごし方をしていたのだ。(先生、イヤミ風にいじってくれてありがとう。)

ちなみに、そのイヤミザンスだった頃、既に夫とは出会っていて、転校生の夫は私の可愛さに度肝を抜かれ(誇張してます)、でも友達に「あいつ性格悪いで」と助言されてビビっていたそうだ。(助言したK氏、マジでしばく。幼なじみのくせに。)

そして中学で部活が一緒になった私たちは青春を過ごして、ずっと甘酸っぱい感情を抱き合う相手だった。私はこの物語が大好きだ。ネタになるし。

で、20年後めでたくめおとになれて(前述のK氏はここでも、ようあんなんと結婚するな、と陰口をたたいた。しばく。)、深く愛し合っているはずの私たちの間に流れるナイル川は、ドケチ探偵と貴族問題だったのか…。と今ようやくわかりました。

夫はお父さんが自営業をされていた関係でドケチに育てられた。(後日、義父さんの性格の遺伝よ、私も日々ドケチにイラっとするわ、とお義母はディスっていた。)

私は朝から炬燵でブルーチーズとフランスパンをかじる父親に育てられて貴族になった。(私の常食である納豆TKGとブルーチーズのマリアージュを薦められ、その後走って登校した時は、ほんまに吐きかけた。)

ドケチ探偵も貴族もどちらも悪くない。ただ、キャラが濃いだけ。キャラが濃いからぶつかるんやなあ。

でも、キャラが濃いのは面白さ、豊かさでもある。絶対貴族の方が面白いと思うけど、ドケチ探偵のお陰で私はお金が貯まり、価格交渉ができるようになった。ギロチンにかけられない程度に、人々とうまくやれる金銭感覚にもなった。夫、ありがとう。愛してる。

お後がよろしいようで。犬も食わない夫婦喧嘩と、惚気話を読んでくださったあなたへの御礼に、お風呂にお湯をたっぷり張るという贅沢が叶うじゅもんをさずけます。ホナ!


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