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私は映画を観ながら、自分の輪郭を確かめている

Netflixが好き過ぎる。どれくらい好きかというと、会う人会う人に、大好きな作品の魅力を伝えんと、熱く語ってしまうほどに。
今日は、その大好きな作品たちの魅力を、ここで熱く語りたいと思う。

はじまりは「クィア・アイ」

Netflixに興味を持ったのは、このnoteがきっかけだった。
私は今まで描いたイラストを、『みんなのフォトギャラリー』に登録している。イラストが誰かの記事のヘッダー画像に使われると、私に通知が来る。そのような仕組みにより、とある記事を何気なく読んだら、そこで「クィア・アイ」シーズン5が始まるよ!と熱くオススメされていたのだ。

noteには最初、イラストを登録しただけだった。
昨年5月の新型コロナウィルスによる自粛期間中、何も仕事が無いけれど、何か「種まき」をしておくことはできないかと考えたとき、ここの『みんなのフォトギャラリー』では著作権も保護されているし、自分のイラストを広く知ってもらえるのではと考えてのことだった。

蓋を開けてみたら、自分の広報以外にイラストを介して様々な情報や、人と出会えたし、さらに今やこうして文章を書くことに夢中になっているし、想像以上に素敵な世界だった。ありがとうnote。そしてどうぞこれからもよろしくね。
で、「クィア・アイ」と出会えたのも、その1つだったというわけだ。

クィア・アイ。概要をざっくりまとめると、ゲイとノンバイナリーの5人組『ファブ5(ファブ・ファイブ)』が、一週間で(!)依頼人の外見と内面をステキに改造していくという内容の、リアリティ番組である。

ファブ5は、5人のエキスパートである。
料理とワイン担当のアントニ、ファッション担当のタン、カルチャー担当のカラモ、インテリアデザイン担当のボビー、美容担当のジョナサン。彼らがそれぞれの能力をいかんなく発揮して、番組が『ヒーロー』と呼ぶ依頼人の人生を変えていく様は圧巻というしかない。

日々何を口にし、どう己を手入れし、装うか。心は本当は、何を欲しているのか。どんな住空間に身を置くのか。
全部、密接に関係しているよねぇ…。

私はシーズン5の「スウィーニー家へようこそ」を観てすっかりファブ5の虜になり、そこから幾つかエピソードを観ていったのだが、5シーズン×8エピソードは多過ぎると早々に悟り、これは時間をかけてコンプリートしていこうと方針を切り替えた。
切り替えて、じっくりと観ることができ、大いに感動し、涙腺崩壊したのが「クィア・アイ in Japan!」だった。これはエピソード数が4つだから。

「クィア・アイ in Japan!」
ファブ5が日本にやって来て、4人の『ヒーロー』を改造した本作。

彼らは日本という社会の持つ閉鎖性の中で、自信を喪失していたり、自分に手をかけることをあきらめていたり、本当の自分を出せない、といった生きづらさを抱えている。

そこにファブ5が優しく、真摯に向き合って『あなたは幸せになっていいんだよ』『自分を愛してあげようね』と繰り返し伝える言葉に。その言葉に、本当の自分を表現し始めるヒーローの勇気に、私は涙が止まらないのだ。

本当に大好き、「クィア・アイ」。
まだジョナサンしか描けていないけど、登場人物全員が愛おしい。また記事を改めて、私はこの番組の魅力を語ろうと思う。

私はこの番組を観ると、良質なカウンセリングを受けたように、自分の心が清浄になるのを感じる。
本作がこれまでに、計8つのエミー賞に輝いているというのも頷ける。


私は興味を芋づる式にたどっていく

そこから、ファブ5のファッション担当、タン・フランスがホストを務める番組がある!と、「ネクスト・イン・ファッション」にハマる。

これは18人のデザイナーが「レッドカーペット」「ロック」「ミリタリー」などのテーマに沿って衣装を制作し(それも非常に短時間で)、それをファッションショー形式で競い合い、審査を行って脱落者を出しながら次のテーマでまた競う…という、なかなかにタフなリアリティ番組である。

この番組の魅力は、何だろう。テーマの解釈、ハッとするようなアイデア、それを形にする確かな技術。毎回、番組の最後に繰り広げられるファッションショーでは、これを2日間で作ったのか…!と驚くほど高品質で、美しくモデルの体にフィットする衣装が披露される。

私は。制作シーンの間に挟まれる、彼らへのインタビューが一番好きだ。
彼らのひと言ひと言が、全編を通して浮き彫りにするのは、18人それぞれ、どんな想いをもって、ファッションの世界に飛び込んできたのか、という物語である。

すでにセレブに衣装を提供するなど、輝かしいキャリアを持っている彼ら。だが彼らの生い立ちをたどると、マイノリティな人種であったり、保守的な環境でファッションを愛していることや、同性愛者であることが受け入れられなかったなど、皆それぞれに『孤独』を経験していることが語られる。
その孤独が、彼らの自己表現の源泉となり、クリエイティビティを支えているのだと気づいたとき、私は深い感動を覚えたのだ。

勝ち抜き式のコンペティションだけど、負けた人もすごくポジティブで、良いコメントを発する。今度英語を書き出してみよう。
皆、良い人なの…!ギラギラしてたり、『ここに懸けてきた』って決意で参加してる人もいるんだけど、お互いの才能を尊敬して、素直に賞賛を送る姿は美しい。負けても、何がしかの気づきや学びを得て、前を向いていく姿に、再び涙。


Netflixでは異なる文化を垣間見せてくれる

今のAIは、本当によく出来ている。よく観ている作品に合わせて、「こちらもオススメ!」と他の作品もrecommendしてくれるのだ。
それが一旦、クリスマスシーズンには笑えるほど、クリスマスを舞台にしたラブロマンスがレコメンドされてきた。素直な私はとりあえず一作を観て、そして素直に欧米圏のクリスマス文化や『王子様モノ』が面白かったので、次々に観た。

何が面白いって、どれも判で押したように
・恋に仕事に頑張るヒロインが(大概恋人の浮気によって失恋の痛みを抱えている)
・クリスマスホリデーに大きく場所を移すと
・そこで王子様と出会い、ときめいて
・王位の継承問題に巻き込まれながらも
・森で恋に落ち、暖炉の前で愛を深めながら
・最後はハッピーエンド
という要素が盛り込まれていることだ。日本の少女マンガにも通じるものがあって、面白い。ディズニー映画「アナと雪の女王」が公開された際、もうヒロインは王子様を求めなくなった、という書評を読んだことがあるけど、やっぱり好きになった人と素敵に結ばれる、というのは、古今東西の女性が求めてやまないことなんだなー、と思う。

私は『すぐそばに森がある(というか、森を切り開いて国を作ってる?)』『日常的に森に入っていく』ことがすごく興味深くて、森の美しいシーンを何度も観ていたものだ(ストーリー分かるしな…)。


たぶん私は映画を観ながら、自分の輪郭を確かめている

クリスマスシーズンが終わり、NetflixのAIは再び、本来の私の嗜好に合わせたレコメンド(オススメ)をしてくるようになった。そこで感動したのが、「ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから」である。

きっと、私の琴線は弱さやマイノリティ、孤独、生きる苦しみといったところにあるんだと思う。ピクサー映画「インサイド・ヘッド」でも語られていた。悲しみがあるから喜びが輝く、そこに私は大きく心を動かされるのだ。
だからこそ、誰かと心を通じ合わせることができたと感じたとき、私は世界がくっきりクリアに、輝いて見えるほど嬉しい。

主人公のエリー・チューは中国からの移民で、いつも同級生から通りすがりに「チャグチャグ・チューチュー!」と声をかけられ、からかわれている。

彼女はとても明晰で、同級生のレポートを代筆してお金を稼いでいるのだが、ある男子(ポール)からラブレターの代筆を頼まれたことから、ポール、ポールが想いを寄せるアスターと不思議な関係で結ばれていく。

エリーは本当に透徹したまなざしの持ち主で、ポールもアスターも家族の期待に縛られていることを見抜いてる。
(ポールは家業を手伝う中でオリジナルレシピを開発したが、家族はそもそも末っ子の彼を一人前として認めておらず、またアスターも家族から地元の名士の息子と結婚し、良き妻、良き母となることを期待されている)

ふたりの人生は、エリーとの関わりで変わっていく。ポールはレシピを認める人と出会ったり(エリーが文章力を活かして、各所にポールを売り込む手紙を送ったから)、アスターも美術学校への進学を決めたりして行くんだけど、エリーもまた、家族に囚われていることをポールから指摘される。

父親のために、自分はこの町に止まってしっかりしなくちゃ。そう自分で決めてしまっていたエリーが、執着を手放して新たに歩き出す様には本当ね、爽やかな感動を覚える。

たぶん私は映画を観ながら、自分の輪郭を確かめているのだ。きっと何かを好き、嫌いというのはそういうことだよね。
他にも、自分の輪郭をなぞる感動を得られたのが、以下の2つ。

「ダンプリン」

「トールガール」


外見という分かりやすいコンプレックスもなんだけど

「ダンプリング」「トールガール」はそれぞれ、標準より太っていたり、身長が高い女の子が主人公。

外見という分かりやすいコンプレックスもなんだけど、平均的な容姿であっても、自分のことが愛せない苦しみというのはある。そこを扱ったドラマ、まだNetflixではあんまり見つけられてないんだよな。文化圏が違うのかねぇ…

で、どうしたらそのままの自分のことを愛せるだろう、と考えたとき、思い出す本がある。

モデル・あんじさんのヘアメイクとして名前を知った、大久保美幸さんの「神ワザ変身メイク (e-MOOK)」である。

図書館で見かけたんだったかな…
一般の女性が、ヘアメイクで大変身を遂げるという趣旨なんだけど、今でも記憶に残っているのが、この企画に応募してきた女性たちは「自分のことを好きになれなくて、鏡さえ見るのが憎い」とまで思っていた、という箇所だった。

分かる…
分かるぞ、その気持ち。

だがそれより歳月を重ねた今は、もう少し踏ん張って、『自分を憎み、責めるという「楽」に逃げるまい』と思っている。

究極のスキンケアとは、『愛するように自分の顔にふれること』らしい。
内田裕士「毎朝、自分の顔が好きになる」

「クィア・アイ」でファブ5が繰り返し解く、セルフラブと繋がったぞ。

これからも、心動かされる映画とたくさん出会い、自分の輪郭を確かめていきたい。

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