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【詩】マスカレード ~ドクター2

マスカレード

救急外来の赤い光は律儀に無表情
ストレッチャーが行き交う
荒い息使いが秒針と時間の狭間を埋めていく
マグマのように

魂の叫びで濃い空気は
仮面を被らなければならない
さもなくば日常を放棄せよ

一般外来の空気は
穏やかな陽光と消毒液を表層に纏い
淡々とした涼しげな爽やかさで
悲惨な苦しみは他人事だと装う
医師も看護師も患者も巻き添えにした
空気の仮面舞踏会
底深い内部でめくれた裏側に潜む湿気

白衣から伸びた手は
身体に触れ針を刺す
訪れる人々は疑いもせず横たわり
ゆだねる 
命を

車椅子の少女が
秒針と余命の狭間を見つめている
担当医は家族の詰問に呟く
「私は所詮 下請けです」

魂の叫びで濃い空気は
仮面を被らなければ生きていけない
さもなくば命より早く流れよ

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