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【詩】薬指

薬指

三歳になったばかりの娘が
赤いクレヨンで絵を描いてくれた
たどたどしい線がかろうじて繋がっていく
「おりんごさんのできあがり!ママにあげる」
萎んだ風船みたいな形が
無邪気な笑顔の横に並ぶ

画用紙をしっかり持った娘の右手
薬指の爪の先に赤が詰まっていた

何をするにもまだ心許ない娘の手元で
薬指は輝く
絵を描く時 食事の時 
じゃんけんの時 ゆびきりげんまんの時

何でもそつなくこなせるようになった私の薬指は
目立たない
主張しない
いつも他の指を支えてばかり
ただ 左手に
夫と揃いの指輪を
ずっと纏い続けている

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