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【詩】完璧な人

完璧な人 ~ドクター3

春の花達が翻弄される気紛れな天候に包まれ
今朝も虹色に輝く花粉光環が青空に映えていた

患者で溢れる総合病院
私は顎周辺の皮膚がかぶれてしまった
そのうち治るだろうと高を括っていたら
我慢できない痛痒さという枷で
かぶれが悲鳴を上げた

私の担当医は若手のエリート男性
彼は立ち居振る舞いだけでなく
顔にも落ち度がない
新品のマネキンみたいにきれいな肌

会計の順番を待っている時
彼が助手達を引き連れて
颯爽と目の前を歩いて行った

白衣の医師の後ろ姿
凛々しい背中

私はそこに
小さな染みを 
ひとつ
見つけた

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