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「こんなことして何の意味があるんだよ!」と叫ぶ獣神サンダーライガーさんから、若者を支えるという仕事を改めて考える2020年の最後。

1年間は8760時間しかありません。
2020年は時間の使い方も大きく変わりましたよね。

僕の場合、「新日本プロレス」がググっとその占有率を伸ばしていきました。少なくとも30興行はライブで観てた気がします。試合の情報を仕入れたり、有田と週プロで予習したので100時間は軽くいった気がします。
(映画に使っていた時間がスライドした感があります)

イッテンヨン観戦からのNJPW(サブスク)加入という完璧なニワカですが、1年間通して、ある御仁の叫びが耳に残ります。
今年、現役を退いた獣神サンダーライガーさんの「こんなことして何の意味があるんだよ!」です。

観戦を始めてわかったことですが、プロレスは割と高確率でバッドエンドの興行があります。想像してた5倍くらいあります。グッドエンドで終わらないと売れないで有名なハリウッド病から目が覚めた気がします。

ここでいうバッドエンドは、重要な試合で起きる乱入やヒールターン(悪役転向)のことを言います。メインイベント(最終試合)での事件なんかはホントに後味が悪くて、Twitterのトレンド入りするくらいファンが荒れます。

そんなとき、解説席から現場を盛り上げるライガーさんは叫ぶんですね。
「こんなことして何の意味があるんだよ!」って。

実際、その場面に出くわすとそう言いたくもなるんです。
必死の思いでトーナメントを勝ち抜いて、チャンピオンへの挑戦権を獲得して、会場もいい空気で温まっているところに、チャンピオンのほうが乱入してその選手ボコボコにしたりとか…

いや、それやる必要ある?みたいな。
マジで誰が得してるのよ、来週の試合で思い切りやれよ卑怯な…って。

だから、ライガーさんが叫びたくなる気持ちもわかるんです。
ていうか、視聴者の代弁者として、率先して叫んでくれてるんだと思います。

でも「こんなこと」にもちゃんとした役割があるんですよね。
強い光ほど、影が濃くなるように、その逆で、「こんな理解できない悪さする奴になんか負けるな」って空気が挑戦者が120%際立つんです。

試合で挑戦者が勝てば、お客さんは「やっぱり最後は正義が勝つんだ!!!」って気持ちが共有できるし、負けたとしても「ちくしょう!アイツだれか倒してくれよ!!!」って次の挑戦者への期待値が高まるわけです。

ホント、よくできてます。終わりがこないんです。
なんなら挑戦者が勝ってベルト巻いた途端に殴り掛かられて次のチャレンジャー出てきたりします。そうするとまたライガーさんが「こんなことして何の意味があるんだよ!」って叫ぶわけですが(笑)

こういうのをブックとか筋書きとか切り離す方は、たぶんプロレス観るの向いてなくて、レスリング観たらいいと思うんですよね。見解の違いはぶつかり合うのではなく、ソーシャルディスタンスをとろう。

プロレスはよくできた興行だって話をしたいわけではなく、この「こんなことして何の意味があるんだよ!」によるストーリーの盛り上げを、僕らの仕事に活かすにはどうしたらいいのかなぁと思うわけです。

① みんながポジティブになれる事象が発生
② 首をかしげたくなる「こんなこと」が起きる
③「これはおかしいぞ」と意見を統一する
④ 解決アクションを実行し区切りをつくる
⑤ と、見せかけて「こんなこと」を起こす

…という形にすることで、①のポジティブな事象を補強するストーリーが構築されて、語り継がれるストーリーを作れないだろうかと思うのです。

「こんなこと」は一時的にストーリーそのものを壊してしまうかもしれないけど、そこから立ち上がったとき、前よりももっと強いものになるのだという仮説です。

あぁ…ここまで書いて気付きました。
これレジリエンスの話だったんですね。

プロレスは何度も折れて、そこから立ち上がってきたから強いんだな。
中邑選手の言葉を借りれば「一番スゲェのはプロレスなんだよ!」ってことなのかもしれないし、内藤選手の言葉を借りれば「勝った負けた、そんなで小さいことで俺らこのプロレスしてないよ」ってことなのかもしれない。

ふと、思い返すと、毎日のように「こんなこと」が起きてる日々。
毎日折れてばっかり。でも、だからこの仕事、おもしろいのかな。
いや、これをストーリーとして見せるようにするのが広報の仕事なのかも。あぁ、折れそうになるなぁ。だれか僕専属のライガーさんになってくれ。

とっちらかったこの文章をどうにかまとめようとしてみます。

僕が育て上げネットを通じて出会う若者は「こんなことして何の意味があるんだよ!」って叫びたくなるような出来事に直面していることがあります。
もちろん、若者自身がそれを受けている意味です。

乱入されてボコボコにされる挑戦者のように、もし僕がそれ人生に必要なイベントなの?って苦境にあったり、それで誰か得したのかなって思うこともしょっちゅうあります。

ひきこもりを経験したある方が「今は、ひきこもったことが必要なことだったんだと思えるし、笑って話せるようになった」と言っていたのが強く印象に残っています。

僕はライガーさんのように、誰しも当事者になりたくないような状態の若者を目の前にして「とんでもないことが起きてる」と社会に示し、その若者と一緒になって戦うくらいの気持ちで観戦席から声援を送り続け、いつか「こんなこと」に価値が生まれたとき、そのストーリーを紡いだひとつの要素くらいになれたらと思うのです。

完全に蛇足ですが、今となっては聖人みたいなライガーさん自身、他団体の興行でヒールになったり、実際、ヒールターンしてる時期もあります。
「こんなこと」以上に、プロレスにおける善悪の概念は曖昧でこれはこれでおもしろいです。今年は特に”ベルトの価値”についても喧々諤々、さまざまな声があがりましたがこの点も私たちの活動に活かせると思います。

プロレスは2021年の8760時間においても大きなシェアを持つことでしょう。ちなみに本当は石森選手とかデスぺ選手とかヒール寄りだけどガチめ、みたいな選手が推しです。


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